左から「オーバーラッピング」「インターロッキング」「テンフィンガー」
説明するまでもないとは思いますが、
- オーバーラッピング:左手人差し指に右手小指を引っ掛ける
- インターロッキング:左手人差し指と右手小指を絡める
- テンフィンガー:指を一切引っ掛けない
という握り方になります。
さて、今回の記事では上の3つのグリップの特徴について見ていきたいと思います
グリップを決める際にまず生まれる疑問が、
この3つはどうやって選んだらいいの?
だと思います。
よく「オーソドックスなのはオーバーラッピング」「タイガーウッズはインターロッキング」などと言われますが、究極的には自分的に違和感が少ないものを選べば良いでしょう。
しかしそんな中でも知っておくべきなのが、この3つのグリップの「違いの本質」です。
違いの本質……?
うん、表面上は「人差し指と小指がどれくらい繋がっているか」がこの3グリップの違いだよね?
なるほど
「人差し指と小指の違い」が、本質的にどういう意味を持っているのか、ってことね
(君のような勘のいい猫は嫌いじゃないよ)
もったいぶっても仕方ないので、ズバリ結論を言いますと、
この3つのグリップ法の本質的な違いは
右手と左手がどの程度連動して動くか
ということになります。
以下でそれぞれのグリップを詳しく見ていきます!
具体的に見ていく前に、大前提の確認です
「インパクトの瞬間、左手のボウ・右手のカップができていること」、これが正しいスイングの条件(のひとつ)です。
左手のボウ
右手のカップ
このことを頭に入れながら、読み進めていただきたいと思います。
テンフィンガーグリップ
テンフィンガーの特徴としてよく言われることはこうです。
- しっかり握りやすいので、力のない女性向け
- 他のスポーツ(野球、テニスなど)に近い
- 右手の自由度が高いので右手主導で振れる
これらの特徴を見てどうでしょう。
女性向けや他のスポーツに近いという点から、初心者にも優しい、比較的簡単な握りであるかのような印象を覚えます。
しかし、結論から言ってしまうと、私はこのグリップは「上級者向け」だと考えています。
少なくとも「ハンドファーストに打つ」ということは当たり前にできているレベルでないといけません
理由は簡単です。
テンフィンガーグリップは、「右手の自由度が高い」とあるように、左手と右手がそれぞれ独立して存在しています。
つまり、左手をボウにしても、右手がカップになるとは限らないということです。
試しに実際にテンフィンガーでグリップしてみてください。
少なくとも「ハンドファーストに打つ」とい左手だけ動かす、右手だけ動かすということが容易にできるはずです
つまり、テンフィンガーグリップで、きれいなハンドファーストのインパクトをしたい場合は、左手と右手をそれぞれ別個に、同じ量だけ動かさなくてはいけないということです。
なるほど、右手と左手を両方同時に意識しないといけないわけね
これは中級者以下のアマチュアには非常に難度が高いです。
逆に言うと、ハンドファーストに打つことは全く問題ない上級者に関しては、試してみる価値があると思います(例えば「右手が効きすぎる人」など)。
オーバーラッピンググリップ
続いて、オーバーラッピングです。
よく言われる特徴はこんなところでしょうか。
- 採用している人が最も多い(と言われている)、基本的なグリップ
- 5本で握っている分、左手主導で打てる
- パワーのある男性向け
これらが正しいのかどうか、正直私には分かりません。
というより、言葉を選ばずに言ってしまえば、間違っていると思っています
採用者が多い、というのはそういう調査結果もあるらしいので良いとします(採用者が多いからといって、それが基本かどうかは別問題ですが)。
しかし「左手の5本指で握っているので左手主導で打てる」という主張は、真偽が極めて怪しいと思います。
現に私はオーバーラッピングで握ると、左より右手の方に意識が行きます
(ある程度右を意識しないと、切り返しで小指がズレそうになるため)
また男性向け、というのもよく分かりません。
「インターロッキングの方が、指を絡めるので力が入りやすい(から女性向け)」というような話を聞きますが、であれば男性もインターロッキングで握って、より力を伝えるべきです。
……ということで、
- パワーが入りやすいか
- 左手(右手)主導で打てるか
というのは個人の手の形状や感覚によるので、これらの特徴は本質ではありません。
では、オーバーラッピングの本質は何か、というと「右手と左手の連動がそれなりにある」ということです。
「それなり」と書いたのは、インターロッキングほどは連携がないからです
オーバーラッピングは、あくまで左手(の人差し指)に右手(の小指)が上から絡んでいるだけです。
そのため、実際にやってみると分かりますが、左手をボウに動かしてみても、右手のカップが完全には連携しません(ただし、上側にある右手をカップにすると、左手はボウになります)。
これがオーバーラッピンググリップの特徴です。
インターロッキンググリップ
ここまでの話を踏まえると、インターロッキングの本質は、
- 両手に一体感が生まれる
- 両手がかなり強く連動する
ということになります。
インターロッキングの本質は以上です
サイトによっては、「インターロッキングは左手主導で打てる」というようなことが書かれていることもあります。
しかし、「左手主導」はオーバーラッピングでもでてきたキーワードです。
これは別にどっちが合ってる間違ってるという話ではなく、所詮、この手の話は個人の感覚論にすぎない、ということです。
しかし、ほとんどのゴルフサイトやゴルフのレッスンでは、この個人の感覚を「論理風」なもので武装してきます。
例えば、今回の3つのグリップは全て「左手主導」にこじつけることができます
え、そんなことできるの?
- インターロッキングは左手と右手が一体となっている → 右手が使えない → 左手主導のスイング
- オーバーラッピングは左手の指を5本使って握れる → 左手がしっかり握れる → 左手主導のスイング
- テンフィンガーは左手と右手がバラバラで握れる → 左手を自由に使える → 左手主導のスイング
どう?
全部それっぽいでしょ?笑
そ……そんなバカにゃ……
このように何とでも理由を付けられる「論理風」に騙されないでください。
そして、そもそも「左手主導のスイング」自体には何の意味もありません(もちろん「右手主導」も同じです)。
大事なのはあくまで、
インパクト時に、この形を作ることです。
「この形」というのは、
左手と右手の手首を同じ量だけ(逆方向に)曲げる
ということです。
この形さえ作れれば、左手主導でも右手主導でもイメージは個人の自由です
ただ、私としては同じ量だけ動かすのであれば、左右の手が同じだけ動くようなイメージでスイングしていきたいと考えます(両手主導?)。
ここで話はインターロッキンググリップに戻りますが、このグリップ方法は左右の手が完全に連携しています。
よく言う「両手の一体感」というのはまだ抽象的な表現で、具体的には、これも実際に握ってみればわかりますが、インターロッキングで左手をボウにすると、自動的に右手もカップでついてきます。
くっついているので当たり前の話なのですが、これが「両手の一体感」の正体です
結局、どのグリップが良いのか
ここまでの話を聞いて、「ははーん、管理人はインターロッキングを勧めようとしているな」と思われた方、とても勘が鋭いです。笑
そして、確かに私自身が採用しているグリップはインターロッキングです
しかし、私は特にインターロッキングだけを勧めるつもりはないです。
そもそも私がインターロッキングを採用した理由も、その昔、ゴルフが今より全然下手だった頃、握って一番しっくり来たから、というだけです。
本当にゴルフを始めたばかりのときは「基本」のオーバーラッピングでしたが、ミスヒットしたときに指がズレる感じや雨の日に手が滑る感じがあり、比較的早めに変えました。
本当に大切なポイントは、
- 違和感なくしっかり握れるか
- ハンドファーストの形をスムーズに作れるか
の2点です。
違和感に関しては、個々人で違うと思いますので3タイプの内、どれでも良いということになります。
しかし、ハンドファーストの際の微妙なリストワークというのは、上述の通り、右手と左手を完全に分けてしまうとやりにくいと私は考えますので、「テンフィンガー以外のどちらか」を選択するのが良いと思います。
ふむ、どちらにしようかな?
オーバーラッピングは、両手の連携は中程度です。
なのでスイングの際、ある程度「自分で両手首を動かす」という意識が必要になります。
ならインターロッキングはオートマチックに正しく動くのかというと、そうではありません。
確かに「左手を動かせば右手も動く」「右手を動かせば左手も動く」という状況ではありますが、これは当然悪い方にも作用します。
というより、基本的にはむしろ悪い方に引っ張られます
つまり、左手か右手のどちらかが正しく使えていなければ、
左:タイガーウッズ
右:昔の管理人
こういう昔の私のような「残念なハンドレイトスイング」になってしまうのです。
なので、どのみち「自分で両手を正しく動かす」という意識は必要になるわけです。
ということで、オーバーラッピングとインターロッキングの間に実質的な差異はありません。
自分がしっくりくる(しっかり握れる&手首を思ったように動かすイメージが湧く)方を選べばいいと思います!
私は、
- オーバーラッピングの際の右小指の違和感が拭えない
- ゆっくり動いてフォームチェックをする際など、手首のイメージが湧きやすい
という理由でインターロッキングを採用しています。