ゴルフを練習してるうちに必ずぶつかるのが、
- 体重移動や重心移動をどのように行うか
- そもそもすべきか、すべきでないか
- 体重移動や重心移動をどう考えればいいか
といった疑問点です。
いろんなレッスン動画とかサイトを見ましたけど、大体「体重移動すること」が前提になってると思いますが
そうだね、「どうすればスムーズに体重移動できるか」という視点のものが多いね
しかし、この「体重移動」の怖いところは、人によって定義や感じ方がまるで違うという点です。
結論を言えば、スイングにおいて「体重移動・重心移動は不要」です。
代わりに、スイングの過程で「足裏の圧力」が変わっていきます。
体重移動・重心移動とは何か
そもそも体重移動・重心移動とは何でしょうか。
まず「重心移動」の定義の方が簡単そうです。
「重心移動」は不要である
数学的・物理学的なことはさておき、一般に重心とは「重さのバランスがとれる場所」のことを指します。
例えば、片足重心になると重心は左右にズレます
出典:https://www.clipstudio.net/oekaki/archives/152489
一部解説用に追記
両足重心から片足重心になる過程で、●から★へと重心は移動しています。
この動きがゴルフで必要になるでしょうか。
見るからに要らなそうです
その通り、不必要な動きだね
なぜ要らないのかと言えば、重心がブレることでスイングも確実にブレるからです。
重心というのは体の「ど真ん中」です。
ど真ん中がブレてしまえば、末端であるクラブヘッドのコントロールは至難の業です。
手元が10センチ動いている間に、ヘッドは何倍も動くよ
これは重心移動してる場合じゃないですね
スイング中に重心の位置が「全く変わらないか」と言われれば、さすがにそんなことはなく、例えばフィニッシュでは大きく飛球線側に動いています。
しかしこれは、スイングの結果、クラブの遠心力が働いてそうなるだけであって、自分の意志で「重心移動をしよう」と思っているわけではありません。
(むしろフォロースルーまでは重心位置を変えない意識が必要です)
ここを勘違いすると、重心の左右移動である「スウェー」と呼ばれるミスに繋がります。
さて、ここまでの話をまとめると次のようになります。
- 重心移動は、左右のブレに繋がる
- 左右のブレはスイング軌道のブレを招く
- よって重心移動の意識は不要
プロは重心位置が動かない
実際にプロとアマのスイングを比べてみましょう。
- アドレス
- トップ
- インパクト
- フォロー
の4つのポイントで確認します。
頭の位置と腰の位置に着目し、真ん中を重心とします。
重心(青線)がほとんど動いていない(クラブの動きに合わせて微量動く)というのが分かると思います。
一方、アマはバックスイングで大きく重心が移動しています。
一度これだけズレてしまえば、戻すために再度ブレますから、往復でスイングが乱れます。
ちなみに重心位置に関しては、こちらの記事に詳しく「見つけ方」「注意点」など載せています!
とにかく大事なのは、「重心移動はしない」ということです。
(少なくとも、自分の意志ではしない)
でも、スイングしてると、例えばバックスイングやトップでは、確実に右足に重さが加わってるような実感がありますが……?
と思う人もいるでしょう。
これは「重心は変わらないけど、体重移動している」ということなのでしょうか?
「体重移動」ではなく「圧力変化」
結論を述べますが、
- まず、バックスイングでは体重移動はありません
- ダウンスイングでは、現象として加重は多少移動しますが、自分の意志で「体重移動」はしていません
- 移動しているのは「足裏の圧力」です
説明していきます。
重心≠体重≠圧力
圧力とは何なのか
上で見た通り、スイング中に変わっているものは、重心でもなければ体重でもなく、足裏の圧力です。
(人間の感覚の問題なので、「圧力感」と言った方がより正確かもしれません)
では、圧力とは何でしょう。
まずは
重心も体重も移動させずに、圧力だけを移動する
という体験をしてもらいます。
普通に直立して、重心位置も左右の体重配分も変えず、体を限界までターンしてください(写真は逆ですが、バックスイングの方向へ、バックスイングのイメージで)。
via https://be-story.jp/article/4607
一部編集
この際、(バックスイング同様)右足の膝が開かないように意識すると、右足の裏にすごい圧力がかかります。
しかし、あなたは直立したままですから、重心も体重も移動していません。
重心が移動していないのは確実として、本当に体重も移動していないのでしょうか。
これは体重計に片足だけ乗せて試してみれば分かりますが、足裏のプレッシャーが強力でも、体重はほぼ変わりません。
つまり人は、重心も体重も移動させずに「圧力」だけを変えられるのです。
基本的には、この「圧力の移動」がスイング中には行われています。
ちなみに圧力というのは、要は「踏ん張ること」と言い換えても良いかもしれません。
踏ん張る場面というのはスポーツにおいていくつかありますが
- 体をターンして、パワーをためる場面
- 重心を(少し)落として、パワーをためる場面
の2つがメジャーです。
色んなスポーツで「腰を落としてどっしり構える」などと言われますが、これは踏ん張ることで圧力が変わる典型例です。
ターンの時と違って重心位置は少し下がりますが、もちろん体重は変わっていません。笑
「圧力移動」と言うとまだ自分で動かしている感じがあるので、「圧力変化」という言葉が適切なのかもしれません。
スイングは踏ん張りの連続
スイングは大きく分けると2つのパートに分かれます
バックスイングとダウンスイングですね
上で見たように、まずバックスイングでは右足が踏ん張ります。
これは、体重を右に移したのではなく、体をターンさせた結果、勝手に右足裏に圧力がかかった(踏ん張らざるを得なかった)という状態です。
その後、ダウンスイングでは体を左にターンさせますから、左足が踏ん張ることになります。
しかも、「バンプやスクワット、LPT」といった動作を加えることで重心位置を少し落とし、より積極的に圧力をかけていくことも可能です。
体重移動の意識は必要ない
ここまで見ていただいたように人間は
- 重心も体重も変えずに、ターンで足裏の圧力だけを変えること
- さらに、少しだけ重心を「下(≠横)」に動かし圧力を変えること
ができます。
これは、重心や体重を移動させるとなくスイングできるという証明です。
重心のブレはスイングのブレですから、体重を移動させる意識を持ってしまえば、スイングがブレる危険性を常に持っていることと同義です。
昔ながらのスイングで体を左右に振って、思いっきり体重移動させる打ち方もあるにはあります。
しかしそのスイングにするメリットがありませんし、ターンがスムーズに行かないのでアマチュアには不向きです。
ちなみに、実際のスイングでは、体を回転させると重たいクラブヘッドが移動しますので、体重の移動もゼロではありません(特にエネルギーが強いダウンスイング時)。
これは、重心や体重のバランスをキープしようとしても勝手に発生するものなので、当然自分で考える必要はありません。
スイングはターンを止めないことが最重要で、「右から左」という意識はそれを阻害します
体をターンすれば、勝手に足裏に踏ん張りの圧力がかかるのです(=圧力変化)。
それ以上でも、それ以下でもありません。
- 重心がブレるとスイングもブレる
- 重心や体重を動かさなくても「圧力」は動く
- 現象としてダウンスイングで加重は多少左に移るが、これは結果論
以上、「ゴルフで移動するのは足裏の圧力だけ」という話でした。
良ければ他の記事もどうぞ。