書籍・DVD評価

【書評】練習ぎらいはゴルフがうまい!/佐久間馨 著

この本を要約すると

ゴルフは難しくない

誰でもパープレーできる

練習も要らない

たまに「実験」するだけ

合理的スウィング

簡単な動きでできる

本の内容

トップアマによる「いかにパープレーで回るか」に焦点を当てた本です(現在はプロ転向したようです)。

通底しているのは、「ゴルフは誰でもパープレーできるようにできている」という著者の強い信念です。

そのための「考え方」と「スイング」の2軸で話が進んでいきます。

「自分もパープレーで回れる」と思わせてくれる

パーというのは、何かひとつ「いいこと」があれば取れるようになっています。ティショットがよければ、セカンドはショートアイアンで打てるので2パットでパー。ティショットをミスしたとしても、セカンドで上手く乗せられたら、これも2パットのパー。そしてセカンドをはずしたとしても、アプローチを上手く寄せて1パットならパーになります。たとえサードショットまで全部ダメでも、4打目のパットがよければパーになるのです。

第1章 ゴルフの目標はパープレー(19ページ)

この本で、筆者は常に「パーは取れる」と言い続けています。

むしろ、ゴルフにパープレー以外の目標はないというくらいの強い意志です。

あまりに繰り返し強調されるので、

NK

なんか明日にでもパーで回れそうな気になってきたぞ

と思わせてくれるのが、本書の最も優れているポイントです。

とかくゴルフスイングの本というのは、

  • スイングの形がどうだ
  • コース戦略だマネジメントだ、

とテクニック論を説明してくれるものが多いです(当サイトもそうです)。

しかし、この本は「そもそもそれって何のタメなの? パーで回るためでしょ?」という事実を認識させてくれます。

パープレーに必要なこととして、

  • スイングは、再現性を求めてなるべく簡単に
  • 練習不要なスイング、球筋を「実験」で見つける
  • ただし、コース攻略は徹底的に考える

といった事柄について、持論が展開されていきます。

そういう意味では、本のスタイルとしては非常に合理的です。

「反復練習は不要、常に頭を使え」という考え方には全面的に賛同

試行錯誤して「実験」してみてください。
上手くできなければ自分に才能がないのではなく、そのやり方自体が間違っているのです。そんな時は、できるまで繰り返し練習しようとしてはいけません。(中略)やり方をどんどん変え、自分で「実験」していくと方法が見つかります。
成功するまでちがうことをやり続けるのです。

第6章 パープレーにさらに近づく5つの知恵(130ページ)

練習ではなく「実験」

アマチュアの練習は下手固めに過ぎないから、
練習はしないで良い

というのが本書の主張です。

さすがにそこまでは言えませんが、私も「回数も時間も少なくて良い」と思っているので、通ずる部分もあります。

筆者の言いたいこととしては、知りたいことが分かるまで「実験」しろ、と。

それによって例えば、

  • こうやって振ると、これくらいスライスする
  • こういう意識で打つと、低い球筋になる

などが分かったら、「実験」は終わって家に帰りなさい、という主張です。

もちろん言葉遊びの要素もありますが、私自身、練習場では「1球打ってスローを確認、修正後もう1球打ってスローを確認」というのを何度か繰り返して、ある程度のところで切り上げているので、近いものがあると思います。

コースマネジメントは本気で考える

練習をしない代わりにゴルフにしっかり向き合いなさい、という主張には説得力があります。

  • ホールのレイアウトを覚えない
  • コースの状況を注意深く観察しない

といったゴルファーに対して「スウィングがよくなっても、スコアはアップしない」とまで言い切っています(耳が痛い……)。

マネジメントの方法自体は、オーソドックスなものが紹介されています。

スイングをシンプルに考えるのは良いが、普遍性には疑問

スイングの理論に関しては、疑問符が残ります。

アマチュアはスイングを難しく考えすぎで、本来、バックスイングで右手を引く動きと、ダウンスイングで左手を回す動きだけ意識すれば、勝手に正しいスイングになる。

というのが筆者の主張ですが、

  • これに普遍性があるか
  • 誰がやっても同じようにできるか

と言われると、首をひねらざるを得ません(というか、少なくとも私自身は当時、アーリーリリースは治りませんでした)。

また、「体の動きより、クラブの動きが大事」といったような発言が出てきますが、これも私の考え方とは違っています。

私は、もちろんクラブの動きも大事ですが、「正しい体の動かし方の先に、正しいクラブの動きがついてくる」という要素の方が強いと思っています。

もちろん、体の動きがメチャクチャでもクラブが寸分も狂いなく動かせるのなら構いませんが、ほとんどのアマチュアにとっては、その方が逆に難しいでしょう。

なぜ、「クラブの方が大事」といった発言が出てくるかと言うと、

筆者に才能があるから

に尽きると思います。

この本の筆者は人生二度目のプレーでハーフ37を出したそうです。

本編内で「才能はない」「普通のサラリーマン」と言っていますが、いくらゴルフについて本気で考えたからと言って、普通なら「2回目のラウンドでハーフ37」は無理です。笑

また2007年の本なので仕方ありませんが、「スイング軌道が打ち出し方向、フェイスの向きがボールの曲がりを決める」としているのも注意が必要です(これは逆であることが分かっています)。

ボールの打ち出し方向は何で決まると思いますか?
スイング軌道?クラブパス?
実は、打ち出し方向の8割は、インパクト時のフェイスの向きによって決まります!!

トラックマン公式『【飛びの10大要素⑤】打ち出し方向は何で決まるのか?』

書籍評価

以上のように、スイング理論に関しては私の考えとは異なっていますが、「ゴルフ」というものの考え方、捉え方に関しては良著だと言っていいと思います。

読むべき層は、ある程度ゴルフの知識がついてきたけど、頭でっかちになりかかっている初級~中級者でしょうか。

あえて、ドンピシャのターゲットを挙げるとすれば、「ハンドファーストに打てているのに、スコアが85辺りで頭打ちになってる人」になると思います。

総合評価 4/5点
ゴルフの考え方★★★★★
スイング理論★★☆☆☆

【ターゲット】

初心者×
初級者
中級者
上級者

スコアで言うと、80~100あたり

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