ボールとの距離って、どうやって決めればいいの?
いつもはどうやって立ってるんだい?
え……なんとなく。笑
ゴルフにおいて「なんとなく」はありがちです。
しかし、自分の感覚が第一のプロと違って、アマチュアゴルファーは基本的にスタンスをルール化しておくべきです。
適当に立って、正しく構えられる確率は低いです
さて、今回のテーマ、どれだけボールから離れて立つか。
ローリーマキロイ(左上)
via https://www.youtube.com/watch?v=-zN7pkk0r4Q
タイガーウッズ(右上)
via https://www.youtube.com/watch?v=ppDvhlGr5nI
ザックジョンソン(左下)
via https://www.youtube.com/watch?v=2bJMJeH6hN4
モーノーマン(右下)
via https://www.youtube.com/watch?v=0BYOqB7chkk
早速見ていきましょう。
まず、パッと答えを紹介し、その後プロゴルファーの実例を見ていきます。
どれくらい離れて立つかは、2つのポイントを守るだけで勝手に決まる
さて、まずは結論からお伝えしたいと思います
どれだけボールから離れて構えれば良いかですが、次の2点を守ってさえいれば問題ありません。
- ふところに、こぶし2個分のスペースがある
- シャフトがベルト付近を指している
これが全てです。
具体的に写真で見てみるとこういうことです。
タイガーウッズ(ドライバー)
via https://www.youtube.com/watch?v=5_reNP7Zkew
- ふところに、こぶし2個分のスペースがある
- シャフトがベルト付近を指している
の2点が守られていることが分かると思います。
では「なぜこの2点を守ればボールとの距離が適正になるのか」というと、
多くのプロが、大体このくらいだから
ということになります。
ミもフタもない発言だね。笑
まあ、正しい方法を知る手段は
- 「理論的な正解を探す」か
- 「上級者の方法を分析する」
のどっちかしかないから。笑
ちなみに、「ボールとの距離」というと
「ここ」の話をしたくなりますが、「ここ」の距離は番手によって変わりますし、何センチかを測ることは現実的に無理なので、この発想は捨ててください。
とにかく大事なのは、この、
- ふところの空間
- シャフトの指す位置
でボールとの距離をコントロールすることです。
ボールとの距離「よくあるNG例2つ」
これは私自身の経験ですが、ボールとの距離がとても狂った時期が2回ありました。
その実体験を元にしたNG集です。
NG① ボールから遠すぎる
まずは映像をご覧ください。
ゴルフを始めて半年の頃です。
当時は打っても打ってもスライスだったので、
フェースターンの時間を稼いで、スライスを減らしたい!
という浅知恵を働かせて、なるべくボールから離れて立つようになってしまいました(これがアーリーリリースを悪化させるわけですが)。
なんか変なフォームだね
う~ん、全く否定できない。笑
- ボールから離れすぎだし
- 前傾角がウェッジ並みだし
- 背中は丸まりまくってるし
- このままじゃ打てないから腰を前に出してアーリーエクステンションになってるし
「そりゃ、あんた。スライス悪化するよ(笑)」というスイングです。
具体的にどれだけボールとの距離が狂っているかを見てみましょう。
【理想】 | 【現実】 |
---|---|
・ふところに、こぶし2個分のスペース ・シャフトがベルト付近を指す | ・ふところに、こぶし3個分のスペース ・シャフトがベルトの上を指す |
これくらいでも、ボールから遠すぎです。
「ふところのスペース」と「シャフトの指す位置」、片方なら原則を外れるプロもいますが、この両方を間違えると正しいスイングはできません。
並べてみると、違いがよく分かるね
NG② ボールに近すぎる
こちらの映像は、上の動画の「1週間後」に撮ったものです。
え!?
これが、さっきの1週間後!?
そう、自分でも怖くなるレベルで、急に近くに立っているね
【理想】 | 【現実】 |
---|---|
・ふところに、こぶし2個分のスペース ・シャフトがベルト付近を指す | ・ふところに、こぶし1個強のスペース ・シャフトがベルトの下を指す |
当時の私がこんな変なアドレスをしている原因は明確です。
当時スライスに悩んでいた私は、某有名サイトに書いてあったアドバイスを丸々信じたのです。
そのサイト(今も存在している)にはこんな感じのことが書いてありました。
- スライスを打っている人は、ボールから離れたがる
- (また、ボールを飛球線側に置きたがる)
- しかし、ボールから離れれば離れるほどスライスは悪化する
- だから、思い切って近くに立たないといけない
- いかに近くに立てるかでドライバーが打てるかは決まる
人間単純なもので、私はこのアドバイスを簡単に信じました。
なぜなら、
- スライスを打っている人は、ボールから離れたがる
- また、ボールを飛球線側に置きたがる
この2つの項目が、見事に自分の状況を言い当てていたからです。
しかし、冷静に考えれば「いかにボールの近くに立てるかでドライバーが打てるか決まる」わけがありません。
本当に重要なのは「いかに近くに立つか」ではなく、
いかに適正な距離で立つか
に決まっています。
当たり前のことですが、これが極めて重要です
余談:「感覚」は要らない
少しだけ余談をさせてください。
アマチュアゴルファーに「感覚」は要らない、という話です。
(本題の「トッププロのボールとの距離」を知りたい方は、こちらのリンクから読み飛ばしていただいても構いません)
一度ボールとの距離が近くなってからというもの、私は「ボールの近くに立つ」という行為が当たり前になってしまいました。
5年弱の間、「ボールの近くに立つことこそ正義だ」という考えを無条件で信じていたのです。
しかし、この動画を撮った5年後のある日、私はふと思いました。
「あれ、俺ボールに近すぎじゃね?」
手と体のスペースを潰しすぎている上、完全に棒立ちです。
これでまともに打てるわけがありません(現にボールは右へ)。
結構、衝撃的な動画だね
そうだね、だってこれ……
こぶし0個分だもんね。笑
なぜ、これで打てると思ったのか……。笑
なぜ、私はこのようなエラーを起こしてしまったのでしょう。
理由は簡単です。
自分のフォームを客観的にプロと比較せずに、ただ自分の感覚だけでやっていたからです。
そして、ウェブや雑誌のアドバイスをただ鵜呑みにしてしまったからです。
そりゃ、上手くならないわけだね
メンボクない。笑
そもそも、全く上達しなかった5年の間、私は「後方視点」でスイングを考えるという発想がほとんどありませんでした。
ハンドファーストに重要なのはあくまで「正面」であって、「後方」は関係ないと思っていたからです。
しかし、スイングは2次元ではなく、3次元で起きている現象です。
正面だけではなく、後方の視点からも分析することで初めて成立します。
- 「遠くに立てば、スライスしなさそう」とか
- 「近くに立てば、ボールを上から叩けそう」とか
アマゴルファーの感覚は大概ハズれています
あくまでも適正距離を守ってください。
プロが守っている原則を、アマチュアのあなたが破って良いわけがありません。
- 遠くに立ちすぎない
- 近くに立ちすぎない
- あくまで適性距離を守る
- アマチュアの「感覚」はアテにならない
トッププロの「ボールとの距離」実例
さて、ここからは実際のトッププロゴルファーたちの「ボールとの距離」を見ていきたいと思います。
プロは基本的に
- ふところに、こぶし2個分のスペースがある
- シャフトがベルト付近を指している
この2点を守っている、ということを確認していきます。
ドライバー編
タイガー・ウッズ
- スペース:こぶし2個分
- シャフト:ベルト
すでに確認しましたが、タイガーはご覧の通りです。
他のプロも見ていきましょう。
ローリー・マキロイ
via https://www.youtube.com/watch?v=iEamT53A1lE
- スペース:こぶし2個分
- シャフト:ベルト
やや斜めからの画像ですみません。
マキロイも、この2条件をしっかり守っています。
ダスティン・ジョンソン
via https://www.youtube.com/watch?v=n29r4ck4hmw
- スペース:こぶし2.5個分
- シャフト:ベルト
DJは多少ふところのスペースを多めに取っています。
このスペースに関しては、個々人の腕の長さや構え方にもよります。
2.5個分くらいまでは許容範囲と思ってください。
ジャスティン・トーマス
via https://www.youtube.com/watch?v=Hl_CvbuUyfs
- スペース:こぶし2.5個分
- シャフト:ベルト
ジャスティントーマスも、平均からそこまで大きく外れてはいません。
ちなみに、トーマスの最新(2019年)の構えはこちら。
via https://www.youtube.com/watch?v=K8Gnvzkv0sM
- スペース:こぶし2個分
- シャフト:ベルトやや下
と、より平均的になりました。
ここまでの流れで、【2つのポイント】が大体守られていることが、お分かりいただけたかと思います。
次に、2つのポイントの片方が守られていないパターンも見ますが、これは比較的レアケースです。
ザック・ジョンソン
via https://www.youtube.com/watch?v=2bJMJeH6hN4&t=49s
- スペース:こぶし3個分
- シャフト:ベルトやや下
腰を後ろへ引いて、かかと重心&ハンドダウンのザックジョンソン。
これにより、ふところのスペースが3個分と広くなっていますが、シャフトが指す位置は原則から大きく外れていません。
なるほどー、【2つのポイント】が大体は守られているということが分かったよ
うん、それが分かればとりあえずはOKだよ!
でもさ、両方とも原則から大きく外れてるプロもいないわけじゃないんでしょ?
ということで、ドライバー編の最後に、この人を取り上げます。
モー・ノーマン
via https://www.youtube.com/watch?v=rIyL5Mmsy24&t=12s
- スペース:こぶし5個分(推定)
- シャフト:胸
伝説のショットメーカー、モーノーマンです。
ご覧の通り、腕とシャフトが一直線になっています。
これを1つのプレーンとみなしてスイングしていく打法を「シングルプレーンスイング」と言いますが、ここまでで紹介した通常のプロ選手とは、そもそも違う種類の打ち方になります。
これがどういうことか分かるかい?
サッパリわかんない。笑
これはつまり、例の2点、
- ふところに、こぶし2個分のスペースがある
- シャフトがベルト付近を指している
を大きく外れるなら、「もはや別のスイング理論が必要になる」ということです。
え、とりあえず一般的なスイングができれば良いんだけど……
という人は、【上記の2つのポイント】を守るだけで大丈夫です。
ひたすら、そこを意識してみてください
【おまけ】
ちなみに、シングルプレーンスイングの使い手は、現代で言うと「ブライソンデシャンボー」が代表格でしょうか。
via https://www.youtube.com/watch?v=7DR3pFxkPVg
- スペース:こぶし3個分
- シャフト:胸
基本的には、あえてマネする打ち方ではありません。
アイアン編
アイアン編でも、見ていくポイントは同じです。
- ふところに、こぶし2個分のスペースがある
- シャフトがベルト付近を指している
この2点を原則として構えるのが、平均的な考え方です。
タイガー・ウッズ
via https://www.youtube.com/watch?v=4HzLO88ryCU
ホンダクラシック @PGAナショナル15番ホール
- スペース:こぶし1.5個分
- シャフト:ベルト下
あれ……
なんか、いきなり違くない?
そうだね
ややこしいことに、タイガーのアイアンはやや変則なんだ。笑
わかりやすく言うと、タイガーはアイアンを「ウェッジっぽく」打っています。
※「ウェッジっぽい打ち方」については、ウェッジの項目で説明します
とりあえず「ウッズは例外」ということで、一旦飛ばします
ローリー・マキロイ
via https://www.youtube.com/watch?v=-zN7pkk0r4Q
ホンダクラシック @PGAナショナル15番ホール
- スペース:こぶし2個弱
- シャフト:ベルト
マキロイはほぼ平均の範疇と言っていいでしょう。
ドライバーと比べると、手元が太ももに近づいてはいますが、こぶし2個分程度のスペースは確保されています。
ダスティン・ジョンソン
via https://www.youtube.com/watch?v=oHahev958kE
- スペース:こぶし2.5個分
- シャフト:ベルト
ダスティンジョンソンに関しては、ドライバーのときと同じ結果となりました。
DJのように、「高身長&腕長」であれば、これくらいが適正ということなのでしょう。
ジャスティン・トーマス
via https://www.youtube.com/watch?v=Hl_CvbuUyfs
- スペース:こぶし2個
- シャフト:ベルト
こちらはキレイに教科書通りです。
さて、一度話をまとめましょう
- ふところは「こぶし2個分」のスペース
- (ただし、個人差で2.5個分くらいまではOK)
- シャフトはベルト付近
- ただしタイガーのように「ウェッジっぽい打ち方」もある
さて、一旦保留としていた「ウェッジっぽい打ち方」について、いよいよ見ていきたいと思います。
ウェッジ編
ウェッジの打ち方って、アイアンとかと違うの?
お、良い質問だね
基本的にフルショットが中心のドライバーやアイアンと違い、ウェッジは
- フルショット
- ハーフショット
に分けられます(スリークォーターショットは除く)。
フルショットの場合は、基本的にこれまでと構え方や打ち方は同じです。
ハーフショットの場合も、基本的には同じです。
まずは、そのパターンを確認します
ダスティン・ジョンソン
via https://www.youtube.com/watch?v=1MoXZyYgtms
- スペース:こぶし2個強
- シャフト:ベルト
ジャスティン・トーマス
via https://www.youtube.com/watch?v=E9ySG0JM6vo
- スペース:こぶし2個分
- シャフト:ベルトやや下
ご覧のように、基本的には、
- ふところに、こぶし2個分のスペースがある
- シャフトがベルト付近を指している
この原則通りで大丈夫です。
しかし、ハーフショットの場合、アイアンと違うように打つことも可能です。
アイアンと違うように?
いわゆる、こういう打ち方だね
ハーフショットはフルショットと違い、腕を振り子のように使って重力だけで打ちます。
振り子?
うーん、ちょっと分かりにくいなぁ……
そうだね、ちょっと感覚的な表現かもね
フルショットとハーフショットの分かりやすい違いは、「インパクト時の手の位置」と言ってしまって良いでしょう。
ジャスティンローズ選手のインパクト比較画像です。
左via https://www.youtube.com/watch?v=PGageJih7fU
右via https://www.youtube.com/watch?v=e-nunBYOk2c
左がハーフショット、右がフルショットです。
ハーフショットは手が体に近いのが分かると思います。
これがハーフショットの特徴です
それゆえ、ハーフショットを打つ場合、アドレスの段階からふところのスペースを狭くしておくという方法があります(=ボールの近くに立つ)。
これが、アイアンとは違う、いわゆる「ウェッジっぽい」構え方です。
つまり、ウェッジに関しては、
【アイアンと同じ構え方】
- ふところに、こぶし2個分のスペースがある
- シャフトがベルト付近を指している
という、ここまで見てきた構え方と、
【アイアンと違う構え方】
- ふところに、こぶし1個程度のスペースしかない
- シャフトがベルトより下を指している
という、ウェッジっぽい構え方の2通りがあるのです。
実際のプロで見てみましょう。
タイガー・ウッズ
via https://www.youtube.com/watch?v=C-A6JgMH8wU
- スペース:こぶし1個弱
- シャフト:太もも
ローリー・マキロイ
via https://www.youtube.com/watch?v=QwLYLYasHh0&t=29s
- スペース:1個強
- シャフト:ベルト下
「こぶし2個分」「ベルト付近」って言ってたのに、うそつき~
ごめんごめん。笑
ハーフショットは、2パターンの好きな方を選んでね
あらためて、まとめます。
アイアンっぽい構え方 | ウェッジっぽい構え方 |
---|---|
・スペースは「こぶし2個」 ・シャフトは「ベルト付近」 | ・スペースは「こぶし1個」 ・シャフトは「ベルトの下」 |
ハーフショットの時は、このどちらかを選んでください。
自分に合う方で構いません。
「ボールとの距離」まとめ
この記事で何度も出てきていますが、
- ふところに、こぶし2個分のスペースがある
- シャフトがベルト付近を指している
基本は、この2点を意識してください。
この2点が守れれば、少なくともボールとの距離感を大きく間違えるということはありません。
そして、ウェッジでハーフショットを打つ場合だけ、
- ふところに、こぶし1個程度のスペース
- シャフトがベルトより下を指している
という構え方も、例外的に可能です。
これは、自分の体型や腕の長さ、スイングの特徴と相談しながら決めてください。
ちなみに、ボールとの距離を頭で理解することと、実際にその通り立てることは別問題です。
(よし、こぶし2個分のスペースを空けて……)
と思いながらスタンスしても、
- 実際に2個分のスペースがあるか
- 毎回同じスペースを保てるか
と言われると難しいのではないでしょうか。
そこで私は、アドレスまでの動きを手順化しています。
私の場合の手順はこうです。
- 直立する
- 股間から指2本分空けて、ライ角通りにクラブを置く
- そのままグリップする
- しっくりくるところまで重心を落とす(多少ハンドダウンに)
もちろんこの手順は、別に万人に当てはまるわけではありません。
大事なのは、自分なりのルールを決めて、そのルールに則って構えればプロと同じようなアドレスになるという状態を作ることです。
それでは、今回はここまで。
別の記事も読んでいただければ幸いです!