プロのアドレスはきれいです、これは間違いない事実でしょう。
私は、良いスイングはきれいなポスチャーから生まれると考えています(特にアマチュア)
その意味で、まず構えからマネをすることはかなり大切だと思います。
では、どうすればアドレスがプロっぽくなるか。
どうすれば良いの?
これは、
自分のアドレスを撮影する → 多くのプロと比較する
という方法しかありません。
アドレスのレッスンでよくあるのが、
- バランスよく立ちましょう
- 軽くお辞儀をするくらいの前傾をしましょう
- 膝はリラックスして構えます
といったアドバイスですが、これを自分で勝手に解釈して、好きに構えていてはいけません。
あくまで、事実を分析して、その通りに構えるのが確実な上達法です。
この記事では、その「分析方法」「実際の分析結果」をご紹介していきます!
なお、スイング分析は
- 正面(face on)と
- 後方(down the line)
の二方向から行うことがマストです。
アダム・スコット(ドライバー)
(左)正面 via https://www.youtube.com/watch?v=jbB8LaUIq1c&t=72s
(右)後方 via https://www.youtube.com/watch?v=yBSauavYNWU
この2方面からポスチャーを整えていくことで、より精度の高いアドレスがとれるようになります。
片方からの確認では不完全で、場合によっては逆効果の可能性すらあります
それはやだ……
今回の記事は「後方編」と題して、飛球線後方から見たポスチャーのチェックポイントを確認していきます。
↑正面編はこちら
正しいポスチャー(後方)の分析方法
アドレスやスイングに関して、後方から判別できる要素としては、以下のようなものがあります。
- 頭の位置
- 手の位置
- 足の位置
- お尻の位置
- 膝の位置
- 前傾角
- ボール位置ほか(セットアップ系)
こう書くと、
うーん、ちょっと多くない?笑
と言われそうですが、慣れてしまえばそうでもありません。
では、キチンと図で見ていきましょう
まず、こちらの「ボールとの距離(前後のボール位置)」の記事
でも書きましたが「ボールとの間にどれくらいスペースを作るか」の正解は、
- ふところに、こぶし2個分のスペースがある
- シャフトがベルト付近を指している
の2点となります。
これに「つま先位置」の線を書き加えると、下の図のようになります。
アーロン・バデリー
これだけでも、「ボールとの距離が適正か」「手と足の位置関係は適正か」といったことは分かりますが、さらに詳しく見るために、さらに線を書き加えます。
すると、こんな感じです!
多いわ!
大丈夫……慣れるから!(二度目)
一見、多く見えるかもしれませんが、正しいポスチャーを判断するのに、どうしてもこれくらいは必要です。
では、それぞれの線の意味を確認していきましょう。
①の線:頭の位置
参照用(上と同じ画像です)
これは分かりやすいですね。
頭の頂点に横線を引いています。
これはアドレス確認用ではなく、主にスイング診断用です。
インパクトのとき、頭はアドレスより低い位置にないとダメですからね!
②~⑥の線:それぞれの位置関係の比較
参照用(上の画像と同じ)
後方視点でまず重要になってくるのが、②~⑥のタテ線です。
それぞれ、
- ②:ボールの位置
- ③:頭の位置(一番前に出ている部分)
- ④:右手の位置(一番前に出ている部分)
- ⑤:右足つま先の位置
- ⑥:お尻の位置(一番後ろの部分)
となっています。
これらの線から分かるのは、各パーツの前後のバランス感です
例えば、上図の場合は、⑥~④間と④~②間が大体同じくらいです。
⑤~④間と④~③間も、極端にどちらかが狭いということはないです。
手が「つま先と頭」の間にある状態だね
他にも、⑥~⑤と⑤~③を比べてみても良いでしょう。
とにかくこのように、「ボール」「頭」「手」「足」「お尻」の前後の位置関係を把握することが大切です。
これを多くのプロで確認することで、平均的に正しいバランスを知ることができます。
短い赤い線:右ひざの位置
参照用(上の画像と同じ)
これは簡単な話で、膝が⑥(お尻)と⑤(つま先)の間のどこにあるか、ということを表しています。
この短い赤線は、膝を曲げるほど⑤に近寄り、伸ばすほど⑤から離れます。
緑の3本線:手の上下の位置
参照用(上の画像と同じ)
緑の3本線は、上から
- 腰の高さ(ベルトバックル)
- 手の高さ(右手とグリップの接点)
- 右ひざの高さ
を指します。
④の線は「手の前後の位置関係」を見るためのものでしたが、緑の3本線は「上下の位置関係」を確認するためのものです。
これによって手が「腰に近いのか」「膝に近いのか」ということを判定します。
やや安直ではありますが、「ハンドアップかハンドダウンか」と言ってしまっても良いかもしれません
この位置関係、線を引かないとかなり分かりにくいです。
自分が思っているよりずっとハンドアップ(ダウン)で構えていたことに気付くきっかけにもなります。
黒線:腕、上半身、下半身の位置関係
参照用(上の画像と同じ)
黒線は、唯一「体に直接」引いていきます
体そのものに引く線ということもあり、この黒い線が「最もポスチャーっぽい」と言えるかもしれません。
まず、足からお尻にかけての線は「右足かかとから体の一番後ろにある点」にかけて引いてあります。
前傾角の線は「一番後ろの点から首根っこ」、腕の線は「首根っこから右手人差し指」へと引いています。
なんか変なところに線引いてない?
もっと、体の真ん中に直接書いちゃった方が分かりやすいんじゃ?
こんな感じ?
そうそう
確かに、上の図のような引き方が一般的かもしれません。
前傾角や膝の曲がり具合などを確認したりするのに、このような線を使うことが多いです。
確かにこれであれば、
わざわざ①~⑥みたいな線を何本も引かなくても、これだけで十分!
……ような気がしますが、当サイトではこの方法はオススメしていません。
というのも、この方法は線を通す場所が主観的になってしまうからです
「パーツの真ん中」と言っても、少し線の通し方が変われば下のようになります。
パッと見はそこまで変わらないように見えるかもしれませんが、
- 膝の角度 約160°→165°
- 前傾角 約33°→40°
に変わっています。
え、それは違いすぎ。笑
ただでさえ、選手によっては(パンツの股上が違うので)ベルトの位置も変わってきます。
その上、自分の主観で線を引いていては正確な判定はできません。
なので、客観的に「ココ!」と断定できる場所を使っているのです
「かかと」「お尻の一番後ろにある点」「首根っこ」「右手人差し指」はいずれも場所を断定できる(他の線も全て同様)
また、「格子状の補助線」はこのあとのスイング分析でも大いに役に立ちます。
こんな感じ
これはまた当該の記事で説明していきます。
画像は消して、補助線だけにしてからが本領
さて、一通りの線を引いたこの画像。
ここから元画像を消すと、こうなります。
こうすることで、補助線の位置関係がダイレクトに視覚に飛び込んできます。
例えば、
- かかとと⑥番の線までの距離感
- つま先と首根っこ、どっちが前か
- 緑の3本線の間隔
などです。
他にも、
- 腕と脚の平行度合い
- シャフトのアップライト(フラット)度合
なんかも分かりますね
ほほう
もっとも、具体的に見なくても、漠然と「与える印象」だけでも十分参考になります。
例えば、ザックジョンソンの後方画像にも、同じ補助線を引きます。
ここから、画像を取り除くとこうなります。
バデリーと並べるとこんな感じ。
左がバデリー、右がザック・ジョンソン
もちろん、元画像での比較でも「違うフォームだな」というのは分かるわけですが、
「どこがどれくらい違う」というのは、線を引いて線だけで判断するのが最も確実です。
もちろん「元画像」での比較も重要です
「元画像」「元画像+補助線」「線のみ」の3つを見て判断するのがベストです
「正しいポスチャー(後方)」を考える(ドライバー編)
さて、ここまでのことがお分かりいただければ、あとはとにかく多くのプロのアドレス、ポスチャーを見ていくだけです。
その中で、プロの平均値、異常値を探っていき、
- 基本的にはこの辺に納めるべき
- 外れてもこの程度
- こういうプロもいるが、マネしない方が良い
というものを見つけていきます。
では、早速行きましょう!
今回は以下の5人を分析します
それぞれ簡単に解説していきます。
アーロン・バデリー
まず特徴として挙げられるのが「かかととお尻までの距離の短さ」でしょう。
ここが短ければ、基本的には「つま先重心」寄りということになります。
お尻が後ろに下がれば「かかと重心」寄りになるわけですから、その逆ですね
そして膝の位置もポイントでしょう。
他の選手と比べてもらえば分かりますが、つま先からかなり離れています(5選手の中で一番離れています)。
これは、膝が曲がれば曲がるほどつま先の位置に近づくわけですから、離れているバデリーは「棒立ち」に近い、ということになります。
棒立ちで前重心
これがバデリーのポスチャーの特徴です。
そう聞くと心配になるけど、構えとしては普通にカッコいいし、前傾がとれてれば問題ないってことだね
ザック・ジョンソン
この人はバデリーとの比較が非常に分かりやすいです
まず何と言っても「かかと重心」だということでしょう。
これだけ離れているのは、今回の5人の中では圧倒的です。
次に、シャフトが指す場所に着目したいと思います。
ほとんどの選手がベルトのやや上を指す中、彼だけはベルトのやや下を指しています。
これはハンドダウンということで良いのかな?
と思い、緑の3本線を確認すると、これがなかなか特徴的です。
手の高さがほぼ膝まで来ています。
これはドライバーではなかなかのハンドダウンです。
ちなみにアマチュアがハンドダウンに構えるときにやりがちなミスとして
懐を潰してしまう
(手を体に近づけすぎてしまう)
というのがありますが、ザック・ジョンソンはしっかり拳2個以上(ほぼ3個分)のスペースを保っています。
また、シャフトの角度ですが、
他の4人が44~45°の中、やはり彼だけ39°と著しくフラットです。
このあたりも特徴として覚えておくといいでしょう
もちろん彼のフラットな構えは「ハンドダウン」や「かかと重心」と密接に関連しています。
ザンダー・シャウフェレ
一見、オーソドックスなアドレス(スイング)と言われがちなシャウフェレはどうでしょうか。
まず、特徴として挙げられるのが「足と手の黒線が全く平行になっていない」ことでしょう。
完全に「ハの字」に開いてるね
しかし、本人の画像を見ると、ほとんどそのようには感じません。
なぜか。それは、シャウフェレが膝をかなり曲げていることと関係しています。
他の4人を見てもらえれば分かりますが、膝とつま先までの距離が圧倒的に短い。
思いっきり膝を曲げることでバランスを取っているわけです
そして前傾角の浅さもポイントです。
分度器を当ててもらえば分かりますが、せいぜい31~32°となっており、他の4選手と比べると圧倒的に浅いです。
(ジョンソンとウォレスが40°程度、バデリーとトーマスが37°程度)
ちなみに分度器を当てなくても、首根っこの位置がつま先よりも後ろ側にあることから、前傾が浅いと分かります。
これも5人の中で唯一の特徴です。
そして、緑の3本線が均等に並んでいます。
これもまた5人で唯一です。
これは彼がハンドアップであることを指しています
ちなみにハンドアップであることは、「頭の線と右手の線の間隔」が圧倒的に短いことからも分かります。
こう見るとシャウフェレという選手、他の4人とは大きく異なる点が多い特殊な構えであることを認めなければいけません。
「重心は前めで膝を思い切り曲げ、前傾角浅めでハンドアップに構える」という選手になります
ほえ~、パッと見は普通なのに意外だね
マット・ウォレス
ここまで見てくると、ウォレスがかなりオーソドックスな構えであることに気付くと思います。
- 前後の重心(かかととお尻の距離)もちょうど良く
- 膝も適度に曲がっていて、
- 懐も拳2個分ちょっとで、
- 緑の3本線もハンドアップすぎずハンドダウンすぎず、
実にバランスが取れています。
前傾はやや深い方ですが、特に問題はありません
もしあなたがアドレスをイチから見直そうと思っているのなら、ウォレスのようなバランスの良い(平均的な)ものをまずは目指すべきです。
そこから自分なりにカスタマイズしていくのが良いでしょう。
ジャスティン・トーマス
膝は適度に曲がっていて、つま先寄りの重心であり、シャウフェレのように腕と足が「ハの字」になっています。
その結果、懐に拳2つ半というかなりのスペースが生まれています。
これがトーマスのアドレスの特徴です
……以上!
え、この人だけなんか解説が少なくない?
少なく思うかもしれないけど、見ているポイントは他の選手と同じだよ
なるほど、一度知識が身に付くと、短時間で要点を確認できちゃうってことね
まさにその通りで、一度きちんと考えると、ポスチャーに関して見るべきポイントは意外と少ないのです。
ポスチャー(後方)で気にすべきポイント
ということで、任意に選んだ5人分のポスチャーを見てきました。
見るべきポイントや補助線の数自体は一見多いように感じるかもしれませんが、肝心の確認内容は
- 前後の重心バランス
- ハンドアップ、ダウン
- 前傾角
- 膝の曲げ具合
せいぜいこれくらいのものです。
これが理解できていれば、自分のポスチャーがいかに狂っているか、ということに気付けます。
例えば、管理人自身の歴代の画像(特にポスチャーが狂ってた時のやつ)を引っ張り出してきますが、
左から2014年、16年、18年
変なアドレス~。笑
と思うかもしれませんが、ポスチャーを気にしていない普通のアマチュアは、多くがこんなものだと思います。
レッスン本などのアドバイスを自分で勝手に解釈してしまうと(撮影→分析という丁寧な作業をしないと)、こんなメチャクチャな構えになります。
当時は「ハンドファーストにならないな~、腹立つな~」と思ってただ撮っていただけで、客観的な分析をしていませんでした
しかし、パッと見で変なアドレスだと分かっていても、
- どこがどう変なのか
- どれくらい変なのか
は意外と分かりにくいです。
面倒くさくても補助線は必ず引かなくてはいけません。
この画像を元に、
- 前後の重心バランス
- ハンドアップ、ダウン
- 前傾角
- 膝の曲げ具合
これらについて検討してみましょう。
前後の重心バランス
ここまで読んでいただいた方はもうお分かりだと思いますが、まず全てにおいてつま先重心すぎます。
よく「母指球が重心のセンター」と聞いていたので、個人的にはそれを忠実に実践していたつもりなのですが、事実ベースで確認すると全くできていないわけです。
(お尻とかかとの位置関係に注目)
また、真ん中の画像に注目してみると、
- 「つま先と右手」の間隔が、
- 「右手と頭」の間隔より
狭くなってしまっています(下図)。
これは5人のプロには見られなかった現象です
バランスが崩れている証拠だね
ふところのスペースも拳1個分です。
(右の画像も同様)
ハンドアップ、ダウン
左の画像はハンドアップになりすぎています。
シャフトが(ベルトどころか)みぞおちを指してるね
緑の3本線も、バランスがおかしいね
(手の位置が高すぎる)
また緑の3本線で見ると、右の画像も左と同じくらいハンドアップ(この場合、正確には前傾が浅い)だということが分かります。
このへんは補助線を引かないと見えてこない部分です。
前傾角
先ほど、右の画像は前傾が浅いという話をしました。
これは「つま先と首根っこ」の位置関係からも推測できます。
先ほど見たプロは、ほとんどが「つま先と首根っこの位置が同じ」でしたが、左と右の画像は、つま先より首根っこが後ろに来ています(=前傾が浅すぎるのでは?)。
実際に計ってみると、左が26°、右が25°……先ほどのプロは大体が「37°~40°」でしたから、論外レベルで前傾ができていません。
ちなみに、真ん中は35°と実はこれでも少し浅いくらい
他のバランスがおかしいから、前傾が深く見えてしまうということです
膝の曲げ具合
これは、だいたい「4分の1(下図参照)」くらいか、ややつま先側にあるのが普通です。
これと比較してみると、
いずれも「ひざ位置単体」としては適正です。
ま、他の場所が悪いので、ここだけ合ってるというのも、逆にバランスがおかしいと言えるんですけどね……
ポスチャー(後方)についてまとめ
ポスチャーというのは、一見
そんなの言われなくてもできてるよ
と思いがちなポイントですが、実は多くのアマチュアが間違った構えをしています。
しかし、自分が間違っていることに気付く機会がなかなかありません
そんな方は是非今回の記事を参考に、自身の構えをチェックしてほしいと思います。
一度チェックポイントが分かれば、あとは
- 撮影する
- 補助線を引く
- 分析する
だけです。
これを何度か繰り返せば、あっという間に正しいポスチャーになるはずです
サンプル数5人というのは決して多くない数字なのですが、追々いろんなトッププロをこの手法で分析していきますので、それまでお待ちくださいませ。
ポスチャー分析(正面編)はこちら↓