当サイトをご覧になっていただいている方は、ゴルフスイングにはダウンブローとアッパーブローの2種類があることをご存じだと思います。
レベルブローはここでは除くものとします
基本的には、ゴルフのスイングはダウンブローが推奨されていて、ドライバーでのみアッパーが存在しています。
しかし、別にドライバーをダウンブローに打っても良く、現にそういうプロも多数存在しています。
しかし、飛距離的な最適化を図るなら、ドライバーはアッパーブローで打つ必要があります。
これは私が適当に思い込みで言っているわけでなく、弾道解析でお馴染みのトラックマンが言っていることです。
PERFORMANCE OF THE AVERAGE MALE AMATEUR GOLFER
によると、「ダウンブローの平均的アマゴルファーは飛距離を30Y損している」とのこと。
なので、アッパーブローで打てると(飛距離的には)ベターなのですが、どうしてもアッパーが肌に合わない、感覚が分からないという人も結構いるのではないでしょうか。
今回の記事は、そういった方に向けて書きました
※ちなみに、私自身はレベルブローを意識して打っていますので、必ずしもアッパーブローを推奨するわけではありません
「ダウンブローの感覚でアッパブローに打つ」とは?
アッパーブローで打てない、打ち方が分からない、安定しない……
とお悩みの方は、もしかしたら根本的に勘違いをしているかもしれません。
プロのスロー映像などを見ると、確かに彼らはアッパーブローでボールを捉えていますが、「実質的にはダウンブローの感覚で」打っているのです。
もちろん感覚に関しては個人個人で違うと思うので「いや、俺はアッパーに打っている」という人もいるかもしれませんが、現象的には「ダウンブローっぽく」アッパーに打っています。
禅問答みたいになってきましたので、分かりやすくスイングを模式図で考えます
まずこちらの画像ですが、普通のアイアンショットだと思ってください。赤が上半身、緑が下半身、青がスイング軌道です。
便宜上、スパインチルトは全くないとします。
この場合、普通に振り子でスイングできたと仮定するならば、最下点は当然体の正面に来ます。
上半身から一番離れたところが最下点、これは直感で理解できると思います。
問題はここからです
下の図は、スパインチルトをかなり極端に強めてアドレスしたものの模式図です。
この場合、上半身に対して振り子でスイングしたとすると、感覚的な最下点と実際上の最下点がズレることが分かります。
感覚的には「体(上半身)の正面」で「上半身から一番離れたところ」が最下点ですが、実際は体を傾けているので、手前の方が低くなるのです。
この
- 実際の最下点 と
- 感覚的な最下点
というのは、ドライバーショットを行う際、極めて重要になります
下の図で言うところの赤い点線のところですが、
このエリアは「感覚的にはダウンブローだけど、事実上はアッパーブロー」のゾーンです。
上半身を基準に考えれば、下の図のような感覚です。
なので、この赤点線の中でボールを打てば、ダウンブローの感覚でアッパーに打てるわけです。
おお、確かに!
これはすごい発見ですね!
しかし、致命的な問題がひとつあります。
それは……
アドレスでこれだけのスパインチルトを作ると、
その時点ですでに普通の感覚では打てない
ということです。笑
致命的じゃないですか。笑
大丈夫、これには3つの対処法があるよ
- 慣れる
- アイアンでもスパインチルトを強めておく
- ドライバーのスパインチルトを弱める
それぞれ見ていきましょう!
ダウンっぽくアッパーで打つ方法① 慣れる
最も多くの人がやっていると思われる方法です。
元も子もない発言ですね。笑
そうだね、「それができれば苦労しない」の典型例だね
この方法で打てるのは
- 「ゴルフのセンスが驚異的にある人」か
- 「ドライバーのスイングとアイアンのスイングを別で作れる練習量を確保できる人」
のどちらかです。
よって、これは却下です。
ダウンっぽくアッパーで打つ方法② アイアンでもスパインチルトを強めておく
別の対処法で言うと、「アイアンのスパインチルトも強めておく」というものがあります。
ドライバーのときだけ急にスパインチルトを強めると違和感があるので、アイアンの時点でも上半身をしっかり傾けることで、差を少なくしてしまおうという発想です。
via https://www.youtube.com/watch?v=Fa2TwXOk5Pk
via https://www.youtube.com/watch?v=9a4LQfePtI4
左がダスティンジョンソン、右がトニーフィナウです。
アイアンの時点でしっかりスパインチルトを作っています。
こうすることでドライバーとアイアンの繋がりが良くなり、少なくとも違和感は減るでしょう。
でも、この方法には重大な欠点がありまして
なんでしょう?
アマチュアがやると、恐らくダフリます。笑
一見良さそうに見えるこの方法ですが、
スパインチルトを強める
=体を後ろに倒す
=最下点を手前側にもってくる
ことですから、上手く打てなければ当然ダフる確率は上がります。
つまり、インパクトをこの形で綺麗に迎える必要があるのです。
「体が残って手元が先行するタイプ」のハンドファーストインパクトと言えます
私はこれを、野球のバッティングフォームに似ているので「野球型のハンドファースト」と呼んでいますが、ここまで綺麗な形を作るのはアマチュアには至難のワザです。
アマチュアだけでなく、プロでも普通はここまではなりません。
via https://www.youtube.com/watch?v=c0I5WOi2Umo
via https://www.youtube.com/watch?v=CbyTf-rrZi0
タイガーやマキロイなどの超一流どころでも、一直線になるのが普通です。
なので、この方法もアマチュアにはおすすめしにくいのです。
ダウンっぽくアッパーで打つ方法③ ドライバーのスパインチルトを弱める
そこで最後の対処法になるわけですが、「ドライバーのスパインチルトを弱める」というものがあります。
「アイアンをドライバーっぽく構える」のが難しいなら、「ドライバーをアイアンっぽく構えよう」ということです。
え、でもドライバーとアイアンを同じアドレスにしちゃって、ダウンの感覚でアッパーに打てるんですか?
ご安心を、ちゃんと打てますよ!
正しいスイングができていれば、アドレス時よりインパクト時の方が必ずスパインチルトが大きくなります。
タイガー・ウッズ
via https://www.youtube.com/watch?v=EFNFXd6f1o0
それゆえ、アイアンと似たようなアドレスでも、インパクトの際は必ず多少のチルトができています。
すなわち、赤い点線のゾーンは、多少なりともちゃんと存在するわけです。
なので、スイングが安定していれば綺麗な微アッパーブローで打てるということになります。
しかし、多くのアマチュアはこれだけだと、上手く打てないかもしれません
これには2つのパターンが考えられます。
微アッパーで打てないパターン① ボール位置が間違っている
アイアンに近い構えだからと言って、アイアン(フェアウェイウッド)と同じ場所にボールを置いてしまえば、当然アッパーでは打てません。
ボール位置についての考察は下記の記事をご参照ください。
微アッパーで打てないパターン② 体が突っ込んでいる
アイアンと同じスイングを意識しすぎるあまり、上から叩きすぎて体が突っ込んでしまうと、微アッパーで打つことはできません。
そうは言っても、勝手に突っ込んでしまうんですが……
という人は、インパクト時のスパインチルトを少し強めてみることをオススメします。
先ほど見た画像ですが、まさにこんな感じですね。
ドライバーは本来、チルトが強く入ることでバランスが取れるクラブですし、チルトを強めることで体の突っ込みすぎを防ぐ効果もあります。
しかし、
ここで大事なのが、普通のアマチュアは「インパクトの時だけチルトを強めろ」と言われても、それを実行できないということです。
よーし、インパクトのタイミングだけ頭を残すぞー
などとやると、ほぼ100%無茶苦茶なスイングになります。
では、どうすれば良いかというと、「結果的にインパクトの時にチルトが強くなってしまう打ち方や感覚」というものを自分で探すしかありません。
こればかりは個人差があるので自分で見つけるしかないのですが、参考までに私の場合は、ドライバーのときだけボールの側面を打つようにイメージしています。
下図赤丸のイメージです。
アイアンやFWのときは、ボールをコンプレスするイメージを持ちたいので、黄色のポイントを狙っています。
これだけの違いで、私の場合はスムーズにドライバーでチルトを作ることができます。
これを見ると、「スイング軌道も下図のような意識に変えている?」と思われるかもしれませんが、
このような意識は全くありません。
あくまで体は同じように動かして、同じようにスイングしています。
単純にインパクトポイントだけが違うというイメージを持っているということです
体はあくまで他の番手と同じ動き(スイングイメージ)ですので、ダウンブローの感覚で打っていけて、結果的にレベルないし微アッパーで打てるということになります。
インパクトの点を意識するだけで、本当にチルトを強められるんですか?
あくまで僕の場合は、ね
当然、個々人で感じ方に差は出るよ
この「個々人で違う」というところがポイントです。
感覚というのは人それぞれです。
それゆえ本来、
自分はこういう感覚を持ってスイングすれば、こういう結果が出る
というのを探求していくのが、アマチュアにふさわしい練習方法なのです。
やみくもに球数をこなすのではなく、限られた時間を実験的に有効に使うということですね
少し難しい話ですが、一度このスイングが完成すれば、あとは徐々にアドレス時やインパクト時のスパインチルトを大きくしていくことで、アッパーブローの度合いを高めることが可能です。
もっとも、そこまでしてアッパーで打つ必要があるか、というのはそれぞれのゴルフ観、ドライバー観によります。
私の場合は、ドライバーは飛距離と安全性を両立させたいので、レベルブローで捉えることを第一としています
『ダウンブローの感覚でアッパブローに打つ』まとめ
- スパインチルトを作ると、「ダウンの感覚なのにアッパー」のゾーンが生まれる
- ただし、スパインチルトを強めるとスイングに違和感が出る
- それに対処するには3つの方法があるが、オススメは「ドライバーのチルトをアイアンに近づける」という方法
さて、今回は以上
また別の記事でお会いしましょう!