ドライバーをアッパーに打つべきか、ダウンに打つべきかというのは、ある種ゴルファー永遠の悩みでもあります。
アッパーとダウン、どちらでも正しく打つことができます
(それだけに悩みが深い……)
そこで参考になるのがトラックマンのデータです。
有名なのはこの表ですが、
この表は2014年時点の物ですし、サンプル数や誰のデータなのかという点なども不明で、今ひとつ信用できません。
そこで今回は、トラックマンに実名付きで公開されているデータを元に、ドライバーの入射角についての現状・平均値というものを求めていきたいと思います。
個人のデータはどうでもいいので結論を教えてくれ、という方はこちらへどうぞ。
※なお本記事の画像やデータはトラックマン公式サイトから引用しています。ご了承ください。
「データよりも実際どう打つの?」という方はこちら↓
各選手データ
※トラックマンのサイトに追加され次第、こちらも追加していきます。
エリック・ファン・ローエン ERIK VAN ROOYEN
入射角は+0.6°。BMWインターナショナルオープンのデータです。
マット・ウォレス MATT WALLACE
入射角は+1.4°。BMWインターナショナルオープンのプロアマで記録されたデータです。
ブルックス・ケプカ BROOKS KOEPKA
入射角は-3.7°。今回出てくる選手の中でぶっちぎりにダウンブローに捉えています。
アンドリュー・ランドリー ANDREW LANDRY
入射角は+1.8°です。
スロー動画はこちら。
ロマン・ワッテル ROMAIN WATTEL
入射角は+1.1°。メイドインデンマーク(大会名)で記録されたもの。
ルーカス・ビェルレガード Lucas Bjerregaard
入射角は+1.5°。こちらもメイドインデンマークで記録されたものです。
ジャスティン・トーマス JUSTIN THOMAS リンク① リンク②
2017年のデータです。
2014年のデータです。
入射角は2017年が+3.1°、2014年が平均+1.4°です。やはり、最近のトレンドとして入射角のポジティブ化(アッパー化)というのはあるんでしょうか。
ザンダー・シャウフェレ XANDER SCHAUFFELE
入射角は-1.3°。久しぶりにダウンブローです。
ジョン・ラーム JON RAHM
入射角は驚異の+5.2°。トップはコンパクトに、しかし角度は付けて、というのがラーム式の飛ばし術です。
ジェイソン・ダフナー JASON DUFNER リンク① リンク②
2017年のデータです。
試打6回の平均ですが、個別の入射角情報はありませんでした。
2015年のデータです。
こちらは6回分の詳細があります。
入射角は2017年が-1.0°、2015年が-0.6°ですが、注目していただきたいのが2015年。
プラスとマイナスが入り混じっています。
推測ですが、ダフナーはドライバーを最下点(0°)でレベルに打とうとしているのかもしれません
ここで分かることは、「別にアッパーかダウンかどちらか一方で安定させなければならないわけではない」ということです。
ダフナーのような一流のトッププロでも6回という少ない試打の中で「最大+0.5°のアッパーブロー、最小-2.5°のダウンブロー」という、合計3.0°のバラつきが出ているのです。
(まぁ、ダフナーの打ち方はバラつきの出そうな、ちょっとオジサンっぽいスイングという説はありますが笑)
ジミー・ウォーカー JIMMY WALKER
入射角は+4.9°とかなり大きめです。
リンク先の動画は2015年以前のものということもあり、そこまで極端なアッパーには見えません。
しかし、比較的(かなり?)アーリーエクステンションするタイプですし、頭もかなり飛球線後方に残す打ち方をしますし、アッパーの要素はかなり含んでいるスイングだと思います。
ビリー・ホーシェル BILLY HORSCHEL
入射角は+0.8°です。
アルバロ・キロス ÁLVAROQUIRÓS
2017年のデータです。
2014年のデータです。
入射角は+1.3°(2014年)から-0.9°(2017年)に減少しています。
元々飛ばし屋なので、抑えるようになったのでしょうか?
ガルシアばりに手元を近く、そしてクラブをシャローに使う選手です。
スペイン人はこの打ち方にせんといかんのでしょうか……。笑
ジョナサン・ベガス JHONATTAN VEGAS
入射角は-1.0°です。
ただしジョナサンベガスの場合、8番アイアンの入射角が-12.3°なので、これと比べればかなりフラットです。笑
ドラコンプロのような固いアドレスですが、れっきとしたツアープロです。
ゲーリー・ウッドランド GARY WOODLAND
入射角は+3.1°とかなりのアッパーです。
この人の場合、それ以前にタメが教科書のような美しさですが。
アンドリュー・ループ ANDREW LOUPE
入射角は-0.3°です。
ダニエル・サマーヘイズ DANIEL SUMMERHAYS
入射角は+3.6°。
背も高くない、スイングも速くないサマーヘイズにとって、ツアーで戦うためにアッパースイングを選択するというは必然なのかもしれません。
ダスティン・ジョンソン DUSTIN JOHNSON
入射角は+2.8°です。
あれだけハンドファーストで打っているDJがこれほどのアッパーブローというのは、直感とはかなり乖離していますが、データはこうなっています。
ローリー・マキロイ RORY MCILROY
入射角は+2.5°と、なかなかのアッパーブローです。
クリス・ペイズリー THE CHRIS PAISLEY
2013年のデータなので少し古い点に注意ですが、+1.0°です。
ソレン・ケルドセン SØREN KJELDSEN
こちらも2012年なので注意。
アタックアングルは+2.0°です。
ポール・ケーシー PAUL CASEY
こちらは2015年です。入射角は+2.0°。
スロー動画を紹介したいところですが、大物のわりに良い動画が無く、残念ながら割愛させていただきます。
PGAツアー、欧州ツアートッププロのドライバー入射角平均値
現時点(2019年8月時点)でトラックマンの公式サイトで公開されている、男子ツアープロの平均は以下の通りになります。
平均+1.3°(延べ25データの平均)
最高値 +5.2°(ラーム)、最低値 -3.7°(ケプカ)
+5°以上(超アッパー) | 1人 |
+3~4°台(アッパー) | 4人 |
+1~2°台(ややアッパー) | 11人 |
±0°台(レベル) | 5人 |
-1~2°台(ややダウン) | 3人 |
-3~4°台(ダウン) | 1人 |
-5°以下(超ダウン) | 0人 |
これは、冒頭で見た2014年のデータ(ダウンブローが主流)とはまるで違う結果になりました。
最新データでは、むしろアッパーブローが主流ということですね
もちろんサンプルが少ないので何とも言えませんが、今回調べた選手の中で、2014年の平均だった-1.3°よりもダウンブローの選手がそもそも延べ25人中1人(ケプカの-3.7°)です。
さすがにトレンドが変わった感(あるいは元々のデータのサンプル数への疑義)があります。
ちなみに次点はシャウフェレの-1.3°。
これで2014年の平均(とされているもの)と同じですね
ここで言いたいのは、「最新ドライバーはアッパーブローで打つべし」という話ではありません。
「トラックマンがドライバーはダウンブローで打てと言っている」という聞きかじった情報で思考を止めてはいけません、ということを言いたいのです。
これ、結構見抜くのが大変で、一流のレッスンプロやゴルフ通の方も「トラックマンによると、トッププロはダウンブロー」というところを議論の前提にしてしまっているパターンが結構あります。
大切なのは「アッパーのプロも、ダウンのプロもいて、それぞれが恐らく明確な意図を持ってそのスイングを選択している」ということです。
それを踏まえたうえで、あなたがどういう軌道を選択して、どういうスイングを作っていくか、という話になるのです。
【入射角まとめ】
エリック・ファン・ローエン | +0.6 |
マット・ウォレス | +1.4 |
ブルックス・ケプカ | -3.7 |
アンドリュー・ランドリー | +1.8 |
ロマン・ワッテル | +1.1 |
ルーカス・ビェルレガード | +1.5 |
ジャスティン・トーマス | +3.1 |
ジャスティン・トーマス(過去) | +1.4 |
ザンダー・シャウフェレ | -1.3 |
ジョン・ラーム | +5.2 |
ジェイソン・ダフナー | -1.0 |
ジェイソン・ダフナー(過去) | -0.6 |
ジミー・ウォーカー | +4.9 |
ビリー・ホーシェル | +0.8 |
アルバロ・キロス | -0.9 |
アルバロ・キロス(過去) | +1.3 |
ジョナサン・ベガス | +1.0 |
ゲーリー・ウッドランド | +3.1 |
アンドリュー・ループ | -0.3 |
ダニエル・サマーヘイズ | +3.6 |
ダスティン・ジョンソン | +2.8 |
ローリー・マキロイ | +2.5 |
クリス・ペイズリー | +1.0 |
ソレン・ケルドセン | +2.0 |
ポール・ケーシー | +2.0 |
おまけ:PGA・ヨーロピアンツアー男子以外の選手について
トラックマンの公式サイトには、トッププロ以外にも「ドラコン選手」「女子プロ」のデータもわずかですが公開されているので、ここでフォローしておきます。
ティム・バーク TIM BURKE
一流ドラコン選手です。
入射角+7.9°です。
トラックマンのページにはこれでまだ本気じゃないと書いてますね。笑
ジェイミー・サドロウスキー JAMIE SADLOWSKI
一流ドラコン選手です。
PGAツアーに挑戦するためにコントロール重視で打っているとのこと。
キャリー357ヤード……。笑
キム・セヨン Kim Sei-young
なぜか女子プロが1人だけ載っています。
メジャーでも最高2位(エビアン選手権、全米女子プロ)と実績ある選手ですね。
ヘッドスピード94.7mphは約42.3m/sです。
風や海抜の条件は分かりませんが、これでトータル270ヤードですからね……。
この記事はここまでになります!