この本を要約すると
血液型のようなもの
違うタイプのプロを真似てはいけない
例えば傾斜の立ち方や目標の狙い方など
本の内容
トレーナーとゴルファーの共著という珍しいスタイルの本です。
- スポーツ整体師 廣戸聡一氏
- プロゴルファー 横田真一氏
「体の動かし方には4つのタイプがある」という理論(4スタンス理論)を唱える廣戸氏は、他にも様々な著書を出しており、
- 『4スタンス理論バイブル(実業之日本社)』
- 『ゴルフ4スタンス理論タイプ別セオリー(実業之日本社)』
この2冊に関しては、私も読んでいます。
- つま先重心をAタイプ
かかと重心をBタイプ - 内側重心を1タイプ
外側重心を2タイプ
と命名し、それぞれの組み合わせでA1,A2,B1,B2の4タイプに分類する。
Aタイプは伸びる動きが得意、2タイプは外旋(腕や足を外に回す)の動きが得意、などそれぞれに最適な動きがあるとされる。
結論から言うと私はこの理論への全面同意には懐疑的で、本書の有用性に関しても鵜呑みは禁物と考えています。
理由を挙げると、以下のようなものがあります。
- 人間の個体差を考えると、きれいに4つに分けられるとは思えない
- 一方で、人間の身体構造は画一的であり、同じ動きをする部分についての言及が足りない
- 廣戸氏は【軸=JIKU】というものを大切にしているが、この「感覚」が分かるのは、幼少期からそのスポーツをやっている人に限ると思う
- そもそもほとんどのアマチュアゴルファーにとって、4分類の前に身につけるべき技術が多い
- 仮に4スタンス理論が全面的に正しかったとして、この本を読んでも自分で確定的な診断ができない
- 確定診断ができる部分でも、その動きが自分にとって気持ち良くない動きであるケースがある
元々、2015年放送の『マツコの知らない世界』で初めてこの理論の存在を知ったのですが、非常にキャッチ―ですし、実は私も初めは「結構説得力あるかも」と思っていました。
というのも、私の場合、昔から靴の外側が異様にすり減るのが速く、よく足をくじいたりもしていました。
「一流のスポーツ選手はみんな内股だ(内モモの筋肉があるので)」というような理論を聞くたびに、内側を意識していたのですが一向に治らず、「そもそも体の構造の問題なんじゃないか」と思っていました。
その中で「4スタンス理論」を知ったので、「これだ!」と思ったわけです。
しかし、残念ながらこの理論を知っても私のスイングは改善されませんでした。
本の診断によると私は恐らくB2タイプ(かかと重心&外側重心)のはずなのですが(特に2タイプなのは間違いない)、スイングに関しては外側重心というのがどうにも気持ち悪かったり、書いてあることもピンと来たり来なかったりで、どうにもしっくりこないのです。
(かと言って、違う型がしっくりくるわけでもない)
なので、この理論は基本的に上級者向けと思ってもらって良いと思います。
ハンドファーストで打てることは当たり前で、そんなレベルの話ではなく「より高次元で体を正確に使う」「自分の体と対話したい」というような意識の高い人が読むと、より多くの気付きを得られると思います。
しかし、4スタンス理論に懐疑的と書きましたが、全てが間違っていると言うつもりはありません。
(というより、参考にしている部分は結構多いです)
自分を「○○タイプ」と当てはめることはしませんが、「なるほどこういう動き方もあるのか」というような、動き方や考え方の辞典的な意味では4スタンス理論にはむしろ多くの意味があると考えています。
(ただし本書の中では「AっぽいBや、BっぽいAはいない」とされていて、つまみ食いは誤りとされているので注意です)
4スタンス理論 大まかな内容
人に教えてもらうときにも注意した方が良いですよ。たとえば、同じダウンスイングの感覚を表現するのでも、Bタイプの人は「右足を蹴れ」というかもしれないし、Aタイプの人は「左でリードしろ」というかもしれないです。
第1章 4つのタイプを知ろう(19ページ)
以下の内容は私の主張ではなく、本書の内容をまとめたものです。
- 土踏まずのつま先寄りに重心がくる
- ひじが動きにくい
- カバンは指先で握る
- 「みぞおち、ひじ、ひざ」を安定させると振りやすい
- アドレス時は先にお尻を後ろに出す
- 「伸ばす」イメージが合う
- 土踏まずのかかと寄りに重心がくる
- ひじが動きやすい
- カバンは手のひらで握る
- 「首の付け根、骨盤」を安定させると振りやすい
- アドレス時は先に膝を曲げる
- 「縮める」イメージが合う
- グラスを持つときに人差し指と中指を使う
- 両肩を前回ししやすい
- イスに座って太ももを内側にねじると立ちやすい
- 足を内側に踏ん張りやすい
- グラスを持つとき薬指と中指を使う
- 両肩を後ろ回ししやすい
- イスに座って太ももを外側にねじると立ちやすい
- 足を外側に踏ん張りやすい
- A1タイプとB2タイプが該当
- 「右肩と左腰」「左肩と右腰」が反対の動き(ねじれ)をするときに力が出る
- 体重移動が大きい二軸打法が合う
- 体の前面(胸)にふところを作ると振りやすい
- A2タイプとB1タイプが該当
- 「右肩と右腰」「左肩と左腰」が同じ動き(シンクロ)をするときに力が出る
- 体重移動が少ない一軸打法が合う
- 体の後面(背中)を張ると振りやすい
- バックスイングでは「右肩と左膝」、ダウンスイングでは「左肩と右膝」の間が伸びるイメージが合う
- 本当のトップは「両肘がみぞおちの高さにきたとき」
- 低く長いインパクトゾーンでフォローを重視する
- 「イーチ、ニーィ、サーン」と伸びるリズムで間を作る
- バックスイングでは「右肩と右膝」、ダウンスイングでは「左肩と左膝」の間が伸びるイメージが合う
- 本当のトップは「切り返し直後」(トップとほぼ一致)
- その場でターンなので、インパクトゾーンは短め
- 「スッ、サッ」で振るので、スイングリズムも練習もテンポが速い
- バックスイングでは「左肩と左膝」、ダウンスイングでは「右肩と右膝」の間を縮めるイメージが合う
- 本当のトップは「右手が右肩の高さに下りたとき」
- 膝を大きく動かし、フォローよりもインパクトまでの上から捉える過程を重視
- 「イチ、ポン、パン」で一瞬だけ間を取ればOK
- バックスイング、ダウンスイングとも「左肩と右膝」の間を縮めるイメージが合う
- 本当のトップは「右手が右股関節の高さにきたとき」
- ガニ股スイングでインサイドから押し込むイメージ
- 「イーチ、ニーィのー、サーン」で振るので、プレーテンポもゆっくり
管理人NK的にはここが合う or 合わない
繰り返しになりますが、4スタンス理論は
- 使えるところは使う
- 理想とされる動きでも、合わないものは無視
という立ち位置で付き合えば良いと思います。
個人的には、B2に関しての合う合わないは以下の感じです。
- プレーテンポや練習のリズムがゆっくり
- 薬指を軸に考えると動きやすい
- 肘が動きやすい(なるべく動かないようにはしているが、多少動いても気にしない)
- バックスイングで外重心は気持ち悪い
- 左肩と右膝を縮めると頭が前に出る
- しかも力が入りすぎてターンしにくい(ハンドレイトの大きな理由だった)
- 「本当のトップ」の感覚が全く分からない
- かと言ってA2でもない
- 基本的にアウトサイドイン(B2はインサイドアウトorインとされる)
- そもそも全てニュートラルに置く方が間違いないと思う
以上のように、基本的には合わないと感じる部分が多いです。
ただし、だからと言って全部捨てる必要はないと思います。
気付きという意味では、結構大きい発見があることもあります。
書籍評価
以上のように、盲信は危険ですが、参考になる部分もあるというのが本書の特徴です。
読むべき層は、ハンドファーストに打つのは当たり前で、さらなる「自分のスイング」を探し求める上級者、ということで良いと思います。
そこまで達していない方は、本書を読む前にやるべきことが多いと思います。
スイング理論 | ★★☆☆☆ |
気付き | ★★★☆☆ |
【ターゲット】
初心者 | × |
初級者 | × |
中級者 | △ |
上級者 | ○ |