グリップって、結局どう握ったら良いの?
お、悩んでるね~
「オーバーラッピング」とか「ストロング」とか「パーム」とか、種類多すぎ!
確かにそうかもね
じゃあ今回は、実際にプロがどう握っているのかを見ていこう!
ゴルフのグリップというのは、適当に握ってしまえば一瞬で終わります。
しかし、一度考え出すと非常に奥が深いことに気付きます。
一般に、よく紹介されるグリップは以下の通り。
【一般的なグリップの分類】
- オーバーラッピング、インターロッキング、テンフィンガー(3種類)
- スクエア、ストロング、ウィーク(3種類)
- ショートサム、ロングサム(2種類)
- フィンガー、パーム(2種類)
これらを掛け合わせると「3×3×2×2=36通り」という数字が出てきます。
しかし、グリップの種類の中には、上記の一般的な分類ではフォローしきれないものも多々あります。
①左右で違う握りをするパターン
- 左ストロング&右スクエア
- 左ロングサム&右ショートサム
- 左パーム&右フィンガー
など
②中間の握り方
- セミストロング
- ミドルサム
- セミフィンガー
など
③極端な握り方
- 超ウィーク
- 超ショートサム
- 超フィンガー
など
④亜種
- 逆オーバーラッピング
- ダブルインターロッキング
など
これらを全て検討するのは、あまりに大変!
そこでこの記事では、以下の5人のトッププロのグリップを分析していきます。
ご自身のグリップの参考にしてみてください
PGAトッププロのグリップ
さて、早速見ていきたいのですが、その前に1つだけ。
それぞれのグリップの定義に関しては、以下にまとめてあります。
なので、もし今回の記事で分からないことがあれば、【参考】の記事を読んでみてください。
タイガー・ウッズ
- インターロッキング
- 左手スクエア、右手ウィーク~スクエア
- 左手ミドルサム、右手ミドル~ややロングサム
- 左手セミパーム、右手フィンガー系
よくスイング改造しているイメージのタイガーですが、グリップも時期によって結構違ったりするので参考程度に
インターロッキング
via https://www.youtube.com/watch?v=ppDvhlGr5nI&t=23s
これは昔から変わりませんね。
90年代の映像を見てもインターロッキングです。
左手スクエア、右手ウィーク~スクエア
左via https://www.youtube.com/watch?v=oGTKW_UbusM&t=31s
右via https://www.youtube.com/watch?v=EFNFXd6f1o0
番手や時期によって微妙に違うタイガーのグリップです。
アイアンは教科書通りのスクエアグリップですが、ドライバーは両腕を内側に絞るようなグリップになっていますね。
左手ミドルサム、右手ミドル~ややロングサム
左手親指は隠れていますが、手の角度的に平均的な感じです。
右手はややロングっぽくも見えますね。
左手セミパーム、右手フィンガー系
この動画のワッグル部分(29秒からの一連の動き)に注目です。
横からガッと握りに行く左手に対して、右手はまず指を引っ掛けて固定させ、それから手のひらを包みにいっています。
左はパームっぽい動き、右は完全にフィンガー系の動きですね。
ローリー・マキロイ
- インターロッキング
- 左手ストロング、右手スクエア~ウィーク
- 左手超ショートサム、右手ミドルサム
- 左手セミパーム、右手セミフィンガー
マキロイのグリップは意外と結構特殊です
インターロッキング
via https://www.youtube.com/watch?v=iEamT53A1lE&t=3s
どこが特殊なのか。
インターロッキングは本来「左右の手の一体感」を重視するグリップです。
しかしマキロイは、ここ以外の項目では全て左右の手を別に使っているのです(例:左手ストロング、右手ウィークなど)。
それを具体的に見ていきましょう。
左手ストロング、右手スクエア~ウィーク
マキロイのグリップの特徴と言えば、やはり何と言っても「左ストロング、右ウィーク」の通称「お祈りグリップ」でしょう。
これっぽい選手は多いですが、ここまでしっかりやる選手はそんなにいません。
↑左は強めのストロング。
↓右はかなりウィーク。
via https://www.youtube.com/watch?v=1WShT52M9HU
一見、力が入りそうなこのグリップですが、個人的には推奨しません。
ウィークとストロングの本質的な違いは「腕をどれだけローテーションさせた状態でグリップするか」です。
なので、「お祈りグリップ」では左右の手でローテーションの度合いがバラバラになってしまいます。
メリットとしては、手首の動きが制限されるので、余計な動きをしなくなることが挙げられますが、アマチュアの場合は「やりたい動きもできなくなる」可能性があるので、諸刃の剣です。
ちなみに「人間の構造上、腕をダラっと下ろすとこの形(両腕内旋)になる」という意見もありますが、ゴルフスイングとは関係ないでしょう。
左手超ショートサム、右手ミドルサム
マキロイのグリップのもうひとつの大きな特徴が、左手のショートサムです。
via https://www.youtube.com/watch?v=iEamT53A1lE&t=3s
↑超ナナメに握っているのが分かる(=超ショートサム)
↓こちらからも分かります。
via https://www.youtube.com/watch?v=4EwJjV0YX10
左手はご覧の超ショートサムです。
右手に関しては、人差し指を伸ばしているものの、中指や薬指は垂直に近い角度で握っているという、これまた特殊な握りです。笑
とりあえずはミドルサム、ということで良いでしょう。
左手セミパーム、右手セミフィンガー
動画冒頭の握るまでの部分に着目。
右手は指で握って、ワッグルで手のひらを離すタイプのフィンガー系統のグリップ(ただし、付け根で握っているのでセミフィンガー)。
左手は、横から入れて上からかぶせる握りのパーム系統(もしかしたらセミフィンガー?)。
ダスティン・ジョンソン
- オーバーラッピング
- 左手ストロング~スクエア、右手ストロング
- 左手超ロングサム、右手超ロングサム
- 左手セミパーム、右手セミパーム~セミフィンガー
左手ストロング~スクエア、右手ストロング
DJと言えば「ストロンググリップの代表格」みたいに言われることが多いですが、左手に関しては、アドレス最初期はスクエアです(画像左)。
しかし、彼はフォワードプレスをするので、それが完了した時点ではストロングです(画像右)。
via https://www.youtube.com/watch?v=VZjg0KzKMPU&t=64s
これをどう捉えるかで、グリップの評価も変わってくるでしょう。
左手超ロングサム、右手超ロングサム
また、(超)ロングサムもDJの大きな特徴です。
この段階で、左手親指が右手の人差し指まで優に届いている選手はそうそういません。
これ、是非ご自身で試していただきたいです
「え、こんなにロングに握っていいの?」と感じると思います
右手に関しても、ここまでロングの選手はほとんどいません。
※親指を曲げているので「ショートサム?」と思ってしまうかもしれませんが、ロングとショートの本質は原則「どれだけ真っすぐ(or 斜めに)」握っているか」です。
左手セミパーム、右手セミパーム~セミフィンガー
動画の6秒くらいのところを見てもらえれば分かりますが、両手ともワッグルの際に、手のひらと指の両方が動いています。
これは指と手のひらのちょうど境目で握っている証拠です。
ただし、右手はどちらかと言うと指が動いておらず、こちらはセミフィンガーと言っても良いかもしれません。
ブライソン・デシャンボー
- オーバーラッピング
- 左手(超)ウィーク、右手ウィーク
- 左手ロングサム、右手ロングサム
- 左手パーム、右手セミパーム
変則スイングでお馴染みにデシャンボーは、グリップも変わり者です。
オーバーラッピング
オーバーラッピンググリップですが、小指が独特です。
普通はもっとちゃんと引っ掛けると思うんですが、乗せてるだけ、に近いような。
もしかしたらちょっとテンフィンガーの要素を入れたいのかもしれません(推測)。
左手(超)ウィーク、右手ウィーク
via https://www.youtube.com/watch?v=DdA0LvtBGMs
画質が悪くてすみません。
純粋に正面の画像ではないのですが、これがYouTube上では(グリップが分かる中で)最も正面から撮っています。
両方ともウィークですね。
左手ロングサム、右手ロングサム
via https://www.youtube.com/watch?v=7F2rA0oXNo0&t=26s
両手ともしっかり親指を伸ばして使っています。
中指や薬指も垂直気味に入っていますし、これはロングサムと言っていいでしょう。
シングルプレーンとロングサムは相性も良いですし、理論派デシャンボーならではのグリップです。
左手パーム、右手セミパーム
パーム・フィンガーに関しては、少なくともフィンガーではないです。
動画の16秒あたりからの一連のルーティーンを見てもらうと分かりますが、両手とも横から握りにいってますよね。
特に左手が顕著ですが、これはパームグリップの特徴です。
その後のワッグルでも、タイガーあたりと比べてもらえば一目瞭然ですが、手のひらをグリップからほとんど外しません。
マット・クーチャー
- オーバーラッピング
- 左手ストロング、右手ストロング
- 左手ミドルサム、右手ミドルサム
- 左手セミパーム、右手セミパーム
この人も、なかなかに探究心をそそる独特なグリップ&スイングです。
左手ストロング、右手ストロング
そして、クーチャーと言えば、何と言ってもお馴染みの(?)超ストロンググリップですね。
左手ミドルサム、右手ミドルサム
左手に関しては、同じストロングのマキロイと比較すると判りやすいですが、左手親指が人差し指と離れています。
via https://www.youtube.com/watch?v=_rFatlaZhEQ
via https://www.youtube.com/watch?v=1WShT52M9HU
これは、少なくともショートサムではないということです。
この画像からは、左手はかなりナナメになっていますが(一見ショートサムに見えますが)、これは超ストロングリップの特徴が出ているので、その分は差し引いて考える必要があるでしょう。
左手セミパーム、右手セミパーム
動画の9秒あたりでグリップをしますが、上下から包むように握っています(パーム系の特徴です)。
下の動画でも、15秒あたりでグリップを軽く握りなおして調整していますが、その際に動いているのも基本的には指です(タイガーとは真逆ですね)。
グリップは無限にあるので、固定観念に囚われないこと!
長々と見てきましたが、グリップというのは本当に千差万別です。
ゴルフを仕事にして、死ぬほど考えて、優秀なブレーンをつけているトッププロですら、それぞれ全く違う握りをしているわけですから、
「ショートサムが基本です」
とか
「ウィークグリップでは正しいインパクトができません」
のようなアドバイスがいかに適当か、という話です。
これらのアドバイスは全て
- (私個人は)ショートサムが基本です
- (私個人は)ウィークグリップでは打ちにくいです
と言っているにすぎません
グリップの範疇にとどまらず、この手の「※個人の感想です」を見抜けないと、ゴルフは練習すればするほど下手になります。
そんなの絶対やだ。笑
また、グリップというのはスイングにおける最重要ポイントではないので、ここまでに紹介した握りの範疇(常識の範疇)であれば、どんな握りでも正しくスイングすることはできます。
しかしグリップに関して理解している方がプラスは大きいですし、上達も速いです
そういう意味でも、グリップをおろそかにせず、きちんと自分の中で消化していただきたいなと思います。
絶対的に全員に当てはまるグリップはありませんが、「個人的に振りやすいグリップ」というものは必ずあります。
それゆえ、ハンドファーストに打てない最後の理由がグリップにあった、ということも全然あります。
是非、それぞれのグリップの特徴・本質というものを見抜いて、自分に合ったグリップを探してください。
ちなみに、この記事で出てきた以外の選手は、気が向いたときに随時更新していきたいと思います。
気になる選手がいれば、コメント欄にでも!