【クラブの長さ】【ボール位置】【スタンス幅】というのは、それぞれが密接に関係しています。
この記事では、【クラブの長さ】【ボール位置】【スタンス幅】にまつわる、以下の疑問について検討します。
- 「クラブが長くなるにつれて、ボール位置は左側」は正しい?
- 「クラブが長くなるにつれて、スタンスも広く」は正しい?
- 【プロのスタンス幅実例】最も狭い~広いスタンスはどれくらい?
プロのスタンス幅の実例だけ知りたい、という人は「こちら」からどうぞ
せっかくだったら全部読んでいってほしいところですが。笑
ボール位置やスタンス幅というのはゴルフの基本、ショットの第一歩です。
しかし、多くの人が「なんとなく」で済ませてしまっています。
「なんとなく」で済ませていた頃の管理人のスタンス画像
7番アイアンのこのアドレス。
何が悪いか分からない人は是非読み進めてもらえればと思います。
「クラブが長くなるにつれて、ボール位置は左側」は正しい
クラブが長くなるにつれて、ボール位置は左側
これは紛れもない事実だと言って良いと思います。様々な要素がすべて「正しい」と言っています。
「クラブ長→ボール左」の理由① プル角がそうなっているから
ロフト角とライ角を正しい状態でソールしたときにできる、リーディングエッジとシャフトが作る角度を「プル角」と言います。
(厳密には違うという説もありますが、こう覚えてしまって大丈夫です)
左が9I、右が4I
9Iの状態をプル角が大きい、4Iの状態をプル角が小さい、と言う
この図からも分かるように、番手が大きくなるにつれ、リーディングエッジとシャフトの関係は直線に近づいていきます。
これを「プル角が小さくなる」と言います
なぜクラブがこうなっているかは一旦置いておき、とにかく大事なのは「クラブを正しくソールすると、プル角の関係でボール位置は左にズレていく」ということです。
これは紛れもない事実です
上の画像ではよく分からなかった人のために、同時に並べてみます。
これはアイアンだけでなく、ウッドでもウェッジでも同じです。
クラブが長いほどボール位置は左に来るようなプル角に設定されているのです。
でも、そもそもなんでプル角っていうのものが存在してるの?
次の項目では、その疑問も解決していきます。
「クラブ長→ボール左」の理由② 短いクラブの方が左に飛びやすいから
プル角があると何が変わってくるのでしょうか。
これは明確で「スイング軌道中、どこでインパクトを迎えるか」ということになります。
via https://www.adamyounggolf.com/tag/low-point-golf/
上の画像が4番アイアンだとするならば、9番アイアンのボール位置(インパクトタイミング)は下のようになります。
つまり、プル角が大きいほど(クラブが短いほど)、「インサイドアウトが強いタイミングでインパクトする」ということになります。
すると、当然打球は右に飛びやすくなります。
理論に詳しい読者の方は、「打球方向に影響を与えるのはフェースの向きで、スイング軌道は球筋を決めるだけでしょ?」とおっしゃるかもしれません。
確かに、打球方向を決める要素の7~8割はインパクト時のフェースの向きだというのが正しい研究結果です。
しかし、逆に言えば2~3割はスイング軌道も打球方向に影響を与えているのです。
話を戻します。
クラブが短いほど、プル角は大きくなります(ボール位置が右になる)。
ボール位置が右になれば、多少なりとも打球は右に行きやすくなります。
なんでクラブはそんな作りになってるの?
良い質問だね
なぜかと言うと……
クラブは「短いクラブほど、左に飛びやすい」という性質を持っているからです。
皆さんも「ショートアイアンほど引っ掛けてしまい、ロングアイアンほど右に飛び出てしまうという経験」に心当たりがあると思います。
内容を簡単にまとめると、
- 長いクラブは振りにくいから右へ
- 短いクラブは振りやすいから左へ
ということです(あら簡単!)。
これを少しでも相殺するために、短いクラブほどプル角が大きくなっているのです。
なるほど
プル角が無いと、ショートアイアンはさらに引っ掛けてしまうワケね
- クラブが長くなるにつれて、ボール位置は左側に動かすべき
- これは右に出やすい長いクラブで、少しでも左に打つための「プル角」という知恵のため
「クラブが長くなるにつれて、スタンスも広く」も正しい
クラブが長くなるにつれて、スタンスは広くなる
これも正しいと言って良いと思います。
実際問題として、ほとんどのプロゴルファーが、クラブが長くなるにしたがってスタンス幅も広くしています。
しかし、よく考えればスタンス幅を変えるというのは不思議な行動です。
確かに、一見スタンス幅を変えない方が、スイングの再現性は高まりそう
それでも、ほとんどのプロはスタンス幅を変えています。
スタンス幅を変えることで、何かを変えたがってる?
当然そうなるね
その「何か」が何なのか、考えていこう!
スタンス幅を広げると何が変わるのか
スタンス幅を変えることで変わるものは、次の4つです。
- ボール位置
- ターンのしやすさ
- スイングアークの大きさ(エネルギー量)
- イメージ
これらをカンタンに検討していきます。
スタンス幅を広げると変わるもの① ボール位置
常に左かかとの前などボール位置を一定に保っても、スタンス幅を広げるとボール位置は相対的に左(飛球線側)に動きます。
(下の画像など、ボール位置の基本としてよく見かけるかと思います)
via https://www.mamejiten.com/golf/diary/S/042.htm
確かにこれ自体は間違っていません。
しかしボール位置を変えたいのなら、スタンス幅を変えなくても直接ボール位置を動かせばいいので(笑)、これ自体は「スタンス幅を変える理由」にはなりません。
スタンス幅を広げると変わるもの② ターンのしやすさ
これは自分でやってみれば分かりますが、その場に直立して、
- 足を思い切り開いて、体を左右にねじる
- 足を閉じて、体を左右にねじる
の2パターンの動きをやってみてください。
足を閉じた方が、圧倒的にターンしやすいはずです。
あれ……?
なんか変じゃない?
そう、これは矛盾してるんだよね
先ほど少し見ましたが、本来クラブは長い方がスイングしにくいという特徴を持っています。
ただでさえスイングしにくい長いクラブの時にスタンスを広げてしまえば、余計にターンしにくくなってしまいます。
よってこれも正解ではありません。
スタンス幅を広げると変わるもの③ スイングアークの大きさ(エネルギー量)
スイングアーク?
スイングの時に、クラブヘッドが描く軌跡(弧)のことだよ
via http://perfectgolfswingreview.net/straight.htm
これが大きければ当然打球はより飛びます。
スイングアークが大きければエネルギー量も大きいわけです。
なるほど!
スタンスを広げれば、スイングアークを大きくなって、飛距離を伸ばせるわけね
その通り、なんだけど……
スタンスを広げたときにスイングアークも一緒に大きくするには前提条件が合って、体重移動をする必要があります。
仮に黄色線を軸として、全く体重移動せずにその場でターンするなら、スタンスが広かろうが狭かろうが、スイングアークには一切影響しません。
そして、現代ゴルフ理論では、基本的に体重移動は極力なくし、その場でピボットターンをするスイングが良しとされています。
じゃあ、スタンスを広げても意味ないじゃん
そうなんだ
それに、広いスタンスには弊害もあるよ
特にアマチュアゴルファーにとって、体重移動というものは絶対悪に近いです。
プロであれば体重移動しながら上手くボディターンもできますが、アマチュアは上手くターンできずにほぼスウェーになります。
そして、バックスイングやダウンスイングでスウェーしてしまえば、体のターンが止まり、アーリーリリースやアーリーエクステンションを招くのです。
……ということで、スタンス幅を広げるとスイングアークは大きくなるが、上手く使いこなすのは難しいという話でした。
また、クラブが長くなるにつれてスタンスを広げることの目的が「飛ばすこと」だとしたら、ドライバーやウッドはともかく、狙うクラブであるアイアンでもスタンス幅を広げることの説明がつきません。
よって、これも本質とは言いにくいでしょう。
いよいよ迷宮入りしそうですが、次が本質です
スタンス幅を広げると変わるもの④ イメージ
私の仮説ですが、人間やはり「一貫性」「整合性」というのが大切です。
- 長いものを持ったときは自分の体の使い方も大きく
- 短いものを持ったときは逆に小さく
というのが自然な関係です。
例えば、「漢字の読みではなく【色】を答えてください」という脳トレで
青
これを「あお」と読んでしまうように(正解は「あか」)、「一貫性」「整合性」の取れていないものは、やはりどこか不自然なわけです。
なので、スイングイメージの問題として、クラブの長さに合わせてスタンス幅も広くするというのは自然であると感じます。
意外とこれがスタンス幅に関する本質なのだと、個人的には思っています
- 一番大きいのは実は「イメージ」の問題
- スタンスを広げればスイングアークも大きくなるが、上手く打てることが前提
スタンス幅を変えない方法もある
さて、ここまでは「クラブが長くなるにしたがって、スタンス幅も広くする」ことを前提に話を進めてきました。
しかし、次の2つの条件がそろっている人ならば、「どのクラブでもスタンス幅を変えない」という打ち方をすることができます。
- ボディターンが苦手
- スタンス幅を変えないことに違和感がない
基本的にはオススメしませんが、どうしてもボディターンが苦手(≒ハンドファーストで打てない)ならナシではないです。
違和感がないのであれば、スタンス幅を25センチくらいに固定して、ウェッジ~ドライバーまで打ってしまおうということです。
また、ゴルフ場はアンジュレーションもありますし、その中でボール位置もスタンス幅も毎回変えるのは大変なのでスタンス幅は固定する、というのも判断としてはアリです。
ただし、あくまで変則的な方法です
スタンス幅はどこまで広く、そして狭くできるか【プロの実例】
まずは狭い場合から考えてみたいと思います。
短いクラブのときはスタンスが狭くなるわけですから、ショートアイアンやウェッジの画像を見てみましょう。
ローリーマキロイ(ショートアイアン・推定25センチ程度)
via https://www.youtube.com/watch?v=ndAFjvjExZE&t=75s
タイガーウッズ(ウェッジ・推定20センチ弱)
via https://www.youtube.com/watch?v=ZUHHTHwmx-E
ダスティン・ジョンソン(ロブウェッジ・推定20センチ程度)
via https://www.youtube.com/watch?v=JI2WlekNDZ8
ゴルフシューズの幅が約10センチですので、大きくズレてはいないはずです。
※上の画像はいずれも飛球線と平行に構えて、ある程度しっかり打っています。オープンスタンスで30~40ヤードくらいを寄せに行く、という場合は除いて考えていますのでご認識ください
【狭いスタンスの限界】
およそ20センチ
では、逆に最大幅はどれくらいか。
プロのドライバーやフェアウェイウッドの画像で確認していきましょう。
ローリーマキロイ(Driver・推定40センチ強)
via https://www.youtube.com/watch?v=1WShT52M9HU
ジャスティンローズ(Driver・推定30センチ程度)
via https://www.youtube.com/watch?v=qpzejKjcv4w
タイガーウッズ(Driver・推定30センチ強)
via https://www.youtube.com/watch?v=Ur9W47rjF80
(最近のタイガーはこれよりスタンス幅広めにしています)
ダスティンジョンソン(3W?・推定40センチ強)
via https://www.youtube.com/watch?v=HBOqZxxr_Go
(ちなみにDJは、ドライバーのスタンス幅も同じくらいです)
【広いスタンスの限界】
およそ40センチ
とは言え、これは体のターニングに問題のないトッププロの話です
我々アマチュアゴルファーはこれではスタンスは広すぎると思います。
実際は35センチくらいを最大幅と見るべきでしょう。
それでも上級者のスタンスだと思いますが
- 20~40センチくらいの幅に収める
- ただし30センチくらいあれば、ドライバーも打てる
- ターニングに不安があれば狭めのほうがオススメ
さて最後に……
「なんとなく」で済ませていた頃の管理人のアドレスの答え合わせです。
7番アイアンでスタンス幅は30数センチでしょうか。
ショートアイアンに近い7番というアイアンで、タイガーウッズのドライバーと同じくらいのスタンス幅というのは、さすがに広すぎるわけです。
しかもこのときは、ボディターンで打てていなかった時期なので、なおさらです
結果、ものすごくスウェーで打っていた、という悲しい思い出です。
さて、今回の記事をまとめましょう。
「クラブが長くなるにつれて、ボール位置は左側」は正しい?
⇒ 完全に正しい。プル角通り置くこと!
「クラブが長くなるにつれて、スタンスも広く」は正しい?
⇒ 基本的に正しい。イメージを出しやすいのが第一。
ただし、「スタンス幅が一定でも可」の人もいる。
プロで最も狭い~広いスタンスはどれくらい?
⇒ 最も狭い時で20センチ。広い時で40センチ。
ただしアマは最大でも35センチくらいにしておいた方が良い。
以上です。
是非、参考にしてみてください