なんか、短いクラブは引っ掛けのミスが出やすくて、長いクラブは右に出ることが多いですよね
というのは、アマゴルファーを100人連れてきたら99人に納得していただけると思います。
今回の記事では、この理由について見ていきたいと思います。
理由①:慣性モーメント(クラブMOI)の問題
クラブが短いと左に飛びやすい最たる理由は恐らくこれです。
かんせい……もーめんと?
「慣性モーメント」というと多くの人は、
慣性モーメントが大きいパターやドライバーは、芯を外しても真っすぐ行きやすい
という話を想像するのではないでしょうか。
ミスヒットしても真っすぐ行きやすいことを「慣性モーメントが大きい」と言うことがあります。
(ちなみに慣性モーメントは「同じようにあろうとする力」とでも言えば良いでしょうか。難しいので無視でも大丈夫です)
しかし、今回取り上げるのは、それとは別の慣性モーメントです。
こちらのサイトが分かりやすいですが、ゴルフにおける慣性モーメントというのは、実は3種類あります。
- ヘッド左右慣性モーメント
- ネック軸周り慣性モーメント
- クラブ慣性モーメント(クラブMOI)
よく言われる「慣性モーメントが大きいと真っすぐ行く」というのは1番の話で、今回の慣性モーメントは3番の話になります。
ほほう
3番の慣性モーメントは「クラブMOI」とも言われますが、これは、分かりやすく言ってしまえば「クラブの振りやすさ」になります。
- クラブMOIが「大きい」と、クラブ自体のパワーは大きくなるのですが「振りにくく」なります
- クラブMOIが「小さい」と、クラブ自体のパワーは小さくなるのですが「振りやすく」なります
このクラブMOIというのは、意図的に調整しない限り、基本的に長いクラブほど大きくなります。
つまり長いクラブほどそもそも振りにくいということです。
(ボディターンがしづらい、開いたものが閉じない、思ったように動かせない、など)
あなたの感覚は物理学的にも正しいと言えるわけです。
理由②:ヘッドの重心角の問題(アイアン)
アイアンに関しては、番手が下がるほど
バランスが取れている状態で、そもそもフェースがかぶっている(=重心角が大きい)
ことが分かると思います。
これは当然、引っ掛けに繋がる要素です。
重心角はフェースの大きさや重さ、ロフト角に影響される(と思う)ので、残念ながら、全番手の重心角を揃えるということはできないと思われます。
理由③:ヘッドの重心距離の問題(ドライバー)
ドライバーが右に飛びやすい理由ですが、「重心距離が長い」というものがあります(赤線部分)。
重心位置は便宜上の表記です
重心距離が長いと「ネック軸周り慣性モーメント」(前述の2番)が大きくなり、一度開いたフェースが戻らなくなります。
これがドライバーがつかまらない理由のひとつです。
しかし、こんな小難しいことを考えなくても、ウッドが「開きやすい」という性質を持っているのは、見れば一発で分かります。
シャフトの右と左、どちらが重たいのか、という話です。
実際にこの状態でシャフトに指を添えてみると分かりますが、クラブヘッドはものすごい勢いで右に回転します。
でしょうね。笑
「ドライバーが右に行くのは分かったけど、フェアウェイウッドはそんなにスライスしないじゃないか。アイアンより重心距離もあるし、当然右側が重いのに」
という鋭い方もいるかもしれません。
もちろんそうなのですが、ウッド系は基本的に重心角が大きくついています(ウェッジ以上に)。
なので、フェアウェイウッドの重心距離くらいであれば、十二分に相殺できるということです。
しかし、ドライバーはそうはいきません
……というか、それでも扱えることを前提にヘッドが大型化している、ということですね。
それだけ、デカヘッドが持つメリット、
- 飛距離
- 1番の慣性モーメント
などが大きいということです。
理由④:シャフトの長さに伴う、前傾角の問題
論理的、データ的だったここまでの理由と異なり、この理由は非常に感覚的なのですが、個人的にはこれは結構大きいと思っています。
どういうことかと言うと、「シャフトが長くなると、前傾角が浅くなり(体が起き上がり)、右に逃がすイメージになりやすい」ということです。
ダスティンジョンソン(左ドライバー、右ウェッジ)
左 via https://www.youtube.com/watch?v=VZjg0KzKMPU&t=133s
右 via https://www.youtube.com/watch?v=puyr0mCr-M0
手をヒョイっと返してしまえば別ですが、普通にボディターンで振る場合、アドレス時に起き上がっているほど、左に振り抜くのが難しく感じるはずです。
極端な例ですが、完全に直立して目の前のボールを打つイメージをしてください。
左に飛ぶイメージは湧かないと思います。
こういう構えですね。
ちなみに、この手のドリル、いわゆる
- 水平素振り
- 膝立ち打ち
を紹介するレッスンプロは多いですが、全くオススメできません。
手打ちやアーリーリリースを誘発するだけです。
なぜ体を起こすと右に出そうなのかと言うと、前傾が浅い状態がいわゆる「アーリーエクステンション」や「あおり打ち」に近い態勢だからと考えられます。
確かに体が起きると腰も入らないですし、右に逃がしやすくなりそうですね
ということで、「長いクラブは左に、短いクラブは右に出やすい理由」について考えてきました。
理由は4つほど考えらえ、
- クラブMOI
- 重心角
- 重心距離
- 前傾角
となっています。
これは構造上の問題なので仕方ないと言えるでしょう。
なので、番手ごとに何か対応しないといけないわけですね
一般的には、それが「ボール位置を変えること」と「クラブを常にシャットに動かすこと」ということにはなっています。
シャットに関しては、上のリンクと以下の記事をご参照ください。
今回は以上です!