ゴルフのミスショットは、実は大きく分ければ3種類しかありません。
え、ホント?
そんなに少ないとは思えないけど
いや、本当だよ、だって……
ゴルフは止まっているボールを打つゲームです。
動いているのはあなたしかいないわけですから、悪いのは常にあなたです。
ミスをするかどうかは、全てあなたが決めています。
なので、ゴルフのミスは全て「あなたのクラブの動かし方」に集約されます。
より正確に言えば、
- フェースの向きが悪い
- スイング軌道が悪い
- 2つがズレている
の3種類しかありえないのです。
ほう……
ミスショット全種類を確認する
大きくは3種類に分けられるミスショットですが、より細かく見ていくこともできます。
その場合、全部で8種類までは分けることが(一応)可能です。
【ターゲットに対してフェースの向きが悪い】
- プッシュ
- プル(引っ掛け)
【スイング軌道に対してフェースの向きが悪い】
- スライス
- フック
【スイング軌道が悪い】
- ダフリ(テンプラ)
- トップ
- シャンク
- ミスヒット
しかし、これらのミスは全て【フェースの向き】と【スイング軌道】に集約されるわけですから、変な「応急処置法」みたいな情報に騙されてほしくはありません。
以下でそれぞれのミスの特徴を見ていきましょう。
フェースの向きによるミス
プッシュと引っ掛け
お伝えしているように、スイングの二大要素は「フェースの向き」と「スイング軌道」です。
このうち、
- 打球の方向性を決めるのは「フェースの向き」
- 球筋を決めるのは「フェースの向きとスイング軌道の相性」
であることが分かっています。
たまにある勘違いで、
- スイング軌道が方向を決めて
- フェースの向きで球筋が決まる
(=アウトサイドインで打つと左に飛び出し、フェースが右を向いているとスライスする)
と言われたりしますが、これは正しくないことが分かっています。
Face angle has greater influence than club path on the launch direction of a golf shot.
ショットの打ち出し方向において、フェースの向きはスイング軌道よりもとても大きな影響力を持っている。
トラックマン公式サイト『トラックマンユニバーシティ』より
なおトラックマン(弾道解析システム)によれば、ドライバーの時で「フェースの向きが方向性の80%を決める」とのことです。
(この記事では単純化のため100%フェースの向きに飛び出るとして図示していきます)
ということで、プッシュと引っ掛けはフェースの向き(ターゲットに対して)で決まることになります。
分かりやすく言えば、
- 右を向いていれば右に飛ぶし
- 左を向いていれば左に飛ぶ
ということです。
もう少し詳しく知りたい方は、以下の記事で検証しています。
プッシュと引っ掛けの直し方
プッシュと引っ掛けの原因はどちらも同じで、過剰なフェースローテーションです。
なのでこれらを治すには「必要以上にフェースを返さない打ち方」を習得する必要があります。
具体的には、
デリバリーポジションで左手をボウ、右手をカップにして、あらかじめフェースをシャットにする
という打ち方で、PGA(米ツアー)の選手は、大多数がこの打ち方になっています。
ブルックスケプカ
via https://www.youtube.com/watch?v=IjQtnRSeopc
スイング軌道とフェース向きが合っていないミス
スライスとフック
スライスとフックが発生する条件は、以下の通りです。
スイング軌道に対してフェースが開いている場合
スイング軌道に対してフェースが閉じている場合
より詳しくは、こちらで検証しています。
つまり、スライスとフックを治すためには「フェースターンをスイング軌道に合わせて適正」にすれば良いのです。
スライスとフックの直し方
「フェースターンをスイング軌道に合わせて適正」というのは、以下のような状態です。
言うまでもなく、これは先ほど見た「プッシュと引っ掛けをなくすスイング」と同じものです。
つまり、この打ち方
デリバリーポジションで左手をボウ、右手をカップにして、あらかじめフェースをシャットにする
ができれば、
- プッシュ
- 引っ掛け
- スライス
- フック
は全て解決するということになります。
スイング軌道によるミス
さて、ここからはフェースの向きとは関係なく起きるミスを見ていきましょう。
フェース面がいくら正しくても悪い結果になる可能性があるのがゴルフの難しいところです。
テンプラは、ドライバーでボールの下を打ってしまう現象(フェースの上部に当たってしまう現象)ですので、基本的にダフリの亜種と考えて良いでしょう。
ダフリとトップ
スライスに匹敵して、アマチュアゴルファーの悩みであるダフリとトップ。
原因は簡単で「ハンドファーストで打てていないから」です。
左 タイガーウッズ https://www.youtube.com/watch?v=KJIcGvAhUV8
右 昔の管理人
ハンドファーストに打てないと、打てるタイミングがご覧のように1点だけになります。
ここから、上下に少しブレるだけでダフリもトップも起きてしまいます。
一方、ハンドファーストで打つことができれば、この状態は大きく改善されます。
このあたりの細かい検証は、以下の記事をご確認ください。
ダフリとトップの直し方
ここまで見てきた通り、とにかくまず「ハンドファーストの習得」が最優先です。
それに加えて、ほとんどのアマゴルファーは、高確率で、
を併発しているはずです。
これらは全て、スイングに上下のブレを生みますから、一緒に治さないといけません。
これらのアーリーリリースやスウェーなどのミスですが、実は発生すると、クラブの軌道のみならずフェース面もコントロールできなくなります。
つまり、こういう状態なわけです。
アーリーリリース → フェース面が乱れる
という関係ですから、逆に言えば、
フェース面が正しいスイング → ハンドファーストで打てる
ということになります。
ハンドファーストに打てればダフリトップは防止されますから、つまりダフリとトップを治すためには、
このスイング軌道、そして、
このデリバリーポジションが作れればいいことになります。
つまり、
プッシュ、プル、スライス、フックを治せば、
ダフリ、トップも治る
ということになるのです。
なんと……全てのエラーは繋がっていたのですね
本来は「どれか1個だけ治す」なんて不可能なんだよね
しかし、ちまたのレッスンはほぼ全て、
- スライス撲滅!
- ダフリにすぐ効く!
というように、あたかもそれぞれのミスに特効薬があるかのように振る舞っています。
確かに
例えば、「フックは腰が止まってるから、とにかくターンしなさい」というアドバイスですが、このアドバイスを実行したらスライスに戻るだけです。
(フェース面の話をしてないので、当たり前です)
あるいは「ヘッドアップでトップしてるから、頭をキープしなさい」というアドバイスは、次のショットでダフリを生むだけです。
(根本のアーリーエクステンションを治さなければ、何の解決にもなりません)
なんで、そんなに適当なレッスンが多いのでしょうか?
それは2つ考えられるね
- そもそも分かってない人が教えてる
- お金にならないから
古い理論に基づいていたり感覚派の上級者などは、そもそもの原理を解っていない可能性があります。
これはこれで悪質ですが、より悪質なのは「分かっているけど教えない」人たちです。
ここまでの文章を読んでいただいて分かると思いますが、全てを理解しようとすることは非常に面倒くさいです。
書くのは、さらに面倒くさいです。笑
しかし、これだけ長くなってしまうと「楽して上手くなりたーい」という人は確実に逃げ出します。
そうなってはレッスンプロやゴルフ系YouTuberなどはご飯が食べられませんので(笑)、「速攻でスライス撲滅!」と主張し続けるしかないのです……。
そういう意味で、自分で言うのも何ですが、私のように「これに生活が懸かっていない人」のアドバイスが一番フェアだと思うわけです。
ちょっと話が逸れました
シャンクの直し方
さて、これが出ると次のショットがものすごく怖くなる「シャンク」です。
ほとんど知られていませんが、実はシャンクには2種類あります。
- フェースの超ヒールに当たるパターン
- フェースの超トゥに当たるパターン
通常、シャンクとして認識されているのは①です。
シャフトの根っこ、ホーゼルと呼ばれる部分に当たって大きく右に飛んでいきます。
しかし、これに言及している人やサイトを見たことがないのですが、「②フェースの超トゥに当たるパターン」のシャンクも確実に存在します。
証拠は「僕」です
かなり昔ですが、練習場でどうにもシャンクが止まらない時がありました。
「シャンク=ヒールで打っている」と思い込んでいた私は、ひたすら「もっと内側を振ろう」と思っていたのですが全く治りません。
不思議に思ったので、フェース面をきれいに拭いてから打ってみたら、なんと打球の跡がクラブのトゥ側ギリギリについていたのです。
そりゃ、内側を振ればトゥに当たりますよね。笑
では、なぜヒールやトゥでボールを打ってしまうのか。
大きな原因2つは、
- クラブが先走ってコントロールできていないから
- フェースが開いているから
です。
①に関してはダフリやトップでも見ましたが、アーリーリリースやアーリーエクステンションが起きると、クラブが手を追い越して勝手に先に行きます。
クラブをコントロールできなければ、当然シャンクの可能性は高まります。
②の「フェースが開くとシャンクしやすい」というのは図を見てもらえれば分かりやすいと思います。
ご覧の通り、フェースを開くと打てる幅が減ります。
(もっとも、これだけ開くとそもそも右に出ますし、当たり負けするのでほぼシャンクなのですが)
では、シャンクを打たないためにはどうすれば良いのでしょうか。
シャンクの原因2つ、
- クラブが先走ってコントロールできていないから
- フェースが開いているから
これの真逆を行けばいいわけですから、
- ハンドファーストでクラブをコントロールし
- フェースはきちんとスクエアで打つ
ということになります。
非常に根本的ですが、これしかないのです。笑
よくあるシャンクのアドバイス「フェースの先で打つ」「脇をしめる」などはその場しのぎにすぎません。
「フェースの先で打つ」に関しては、トゥで打つシャンクを引き起こしかねないので、応急処置にもなっていません。
もう何度も出ていますが、
このスクエアなスイングができればシャンクも起きません。
ゴルフにおけるミスは、全て同じ原因で発生していると言って良いくらいなのです。
中級者・上級者でたまにシャンクが出る方は「右肘のスタック」を疑った方が良いかもしれません。
極端なインサイドアウトでクラブパスがズレたり、開いて当たったりする要因になります。
ミスヒットについて
アイアンのスイートスポットは「スコアライン3~4本目ややヒール寄り」にあると言われていますが、極論そこ以外は全てミスヒットです。
なので、これは気にするまでもないです。
ある程度のミスヒットは出る前提でラウンドする必要があります
「ダフリ、トップ、シャンク」まで行かなければ良い、ということですね
たった1つの「究極のミス修正法」
さて、全8種類に及ぶゴルフのミスショットに関して見てきました。
散々出てきたのでもうお分かりだと思いますが、ゴルフには、唯一「どんなミスにも有効な修正方法」というものが存在します。
- 引っかけにも
- フックにも
- ダフリにも
- シャンクにも
有効な方法、それは……
「正しいスイング」をマスターすること
です。
具体的には、ハンドファーストを身につけて、インパクトを常に
この形にすることです。
- スライスが出たからインサイドアウトで……
- ダフったから上から叩いて……
- シャンクしたからもっと内側を……
などとその場しのぎの応急処置を繰り返していても、また別のミスが発生するだけで何も解決になっていません。
しかし「正しいスイング」ができるようになれば、
- フックしたから正しいスイングに修正
- トップしたから正しいスイングに修正
- プッシュしたから正しいスイングに修正
となるので、あらゆるミスに対して対応が1つになります。
どっちが合理的かは、言うまでもないですよね
一流プロのように、個人の感覚を中心にしつつ、そこに合う細かい理論を合致させて作り上げていく「稼げるスイング」は、各プロにとってオンリーワンのオーダーメイドのスイングです。
一方で、アマチュアに必要な「正しいスイング」は、それより遥かに当たり前の、
- ハンドファーストで打つ
- フェースの開閉をコントロールする
という「最低限、これだけ守ってね」というスイングですから、究極的には誰でも習得できます。
しかし、お金を稼がなくてはいけないレッスンプロの「なんも考えないで、腕をビュッと振ればOK!」というような、気持ちいいレッスンだけ受けていては習得できません。
材料はこのサイトに用意しておきますので、
- まず勉強し
- 自分なりに解釈をして
- 最終的には感覚に落とし込む
必要があります。
ぜひ「正しいスイング」を身に着けてください。
と、ここで終わっても良かったんですが、一応現時点で私が考える「正しいスイング(ハンドファースト)」を習得する方法は、
- アドレス~フィニッシュまでの「型」を知る
- その型をバランスよくやりきる
の2つです。
実際は「型」の知識がそれなりに必要なのですが、最重要ポイントだけ言えば、
- クラブをシャローにする
- インパクトにかけて頭を下げる
- 体を止めずにターンし続ける
- 2点を意識してスイングする
といったところでしょうか。
これらは互いに関連していますので、
「どれか1個ができて他ができない」
というよりは、
「全体的に少しずつできるようになってきた」
という感じです。
このサイトでは、これらの習得法や理論的な考え方を少しずつ更新していくつもりです
なかなか筆が追いつかないのですが、頑張りたいと思います。
これが野球であれば、ピッチャーの投球という「変数」が発生します。
大谷投手の160キロを空振りしても、あなたが悪いとは言えません。