ゴルフのアイアンショットにおいてはハンドファーストでダウンブローに打つことが大前提となっています。
そして、実際にハンドファーストは必要です。
ハンドファーストで打てるのと打てないのでは、違うゲームをしていると言って良いくらいゴルフの難しさが変わります。
ハンドファーストで打つべき理由は3つ
理由① インパクトゾーンが広がるから
これはかなり重要で、もしハンドファーストで打たない場合は、ボールを最下点で打つ必要があるわけですが、
これはかなり難度が高いです。
一方、ハンドファーストありでダウンブローに打つ場合、
ご覧のようにダフリの危険性をかなり軽減できます。
うーん、なんか騙されてるような……
どのみち打つときは1点だし、例えば上から打つ分だけトップしやすくなってるんじゃないですか?
と考えた方は、ゴルフ思考力の高さを感じます。
しかし、実際はやはりダウンブローで打った方がトップの可能性も低く、簡単に打てます。
先ほどの画像をもう少し拡大して見てみましょう。
これはダウンブローなしで真横からヘッドを入れているイメージです。
点線はいわゆる赤道(ボールの中心)ですが、これでは確実にトップするのが分かりますね。
トップしないためには黒線より下にクラブを入れる必要があるでしょう
ボールの直径は約4.3センチですから、黒線までの猶予は1センチ程度です。
ひえ……
一方、こちらはダウンブローの画像の拡大版です。
ご覧の通り赤道を打っていますが、これはどう見てもフェース面にしっかり乗りそうです。
赤道までは約2センチちょっと、と先ほどの2倍の猶予が生まれます。
このように、ダウンブローで打つことによって「打てるエリア」が格段に広がるのです。
これがダウンブローの圧倒的メリットです。
理由② 方向性とスイング軌道が安定するから
ハンドファーストで打てない人は、
といった、なにかしらのエラーを抱えています。
これらは基本的に体よりも手の運動量の方が多い状態(いわゆる手打ち)ですから、クラブのフェース面やスイング軌道のコントロールが難しくなります。
ヘッドが手より先に行く状態というのは、クラブの重心コントロールを放棄することですから、手を返すタイミングやヘッドの行き先をクラブ自身に決められてしまう状態になるのです。
アーリーリリース(キャスティング)
フリップ
急激なフェースターンのため打球方向をコントロールできない
こういう状態を起こさずに、ボディターンで手元を先行させ、クラブヘッドを引っ張ってあげる必要があるわけです。
確かにボクも散歩のとき、リードで引っ張られると自由に歩けません……!
(たとえが分かりにくい……)
理由③ 少ないエネルギーで効率よく飛ばせるから
これはよく言われていることですが、ハンドファーストで打つとクラブのロフトが立つので飛距離が伸びます。
「アイアンは飛ばすクラブじゃないから飛距離は関係ない」という意見もありますが、飛距離が伸びると、ざっと見積もっても、以下のようなメリットは確実にあります。
- 今まで狙えなかった距離が狙える
- マン振りしなくても飛ぶので安定感が増す
- 番手を下げても届くのでショットが簡単になる
過剰にロフトを立てる必要はありませんが、最低限のハンドファーストは必要です。
【ダウンブローはスピンが増える?】
上の3つ以外にも、「ダウンブローはスピンが増える」という意見を見ることもあります。
確かに、下の図をイメージすれば一見ダウンブローが強まるほどスピンは増えそうです。
しかし、上の模式図は「ダウンブローになるとロフトが立つ」という前提を無視しています。
これをふまえ、前提条件をそろえると以下のようになります。
つまりダウンブローに打つこと自体はスピンに影響は与えません(ほぼ)。
理論上スピンは、
- クラブのロフト(アドレス時)
- インパクトのエネルギー(=ヘッドスピード)
の2点で決まります(同じように打つ場合)。
払い打ち(レベルブロー)で良いから、ハンドファースト(ダウンブロー)は必要ない?
ダウンブローについて、一部レッスンプロや上手なゴルフ仲間が言うことに「ゴルフは払い打ちで良いんだよ」というものがあります。
え、ダウンブローが重要なんじゃないんですか?
上手い人がやりすぎないためのアドバイス
基本的には、上級者というのはダウンブローで打てるのが当たり前になっています。
その中でダウンブローを必要以上に意識すると、過剰な打ち込みや上から叩く感覚に繋がってしまい、
- 右肩の突っ込み
- スムーズなボディターンの阻害
- 不要な力み
などを招くケースがあります。
しかし、お分かりの通りこれは「普通にしていればダウンブローで打てる上級者」の場合です。
ハンドファーストに不安のある初心者~中級者は、まずダウンブロー自体を習得することが先決なのです。
そもそもダウンブローは正しく打てば「勝手になる」ものなので、強く意識するものではありません
また、「最新のクラブは払い打ちで打てるようになってるから、ダウンブローなんて必要ないんだよ」という意見もあります。
しかしこれは根本を勘違いしていて、「払い打ちで打てるようになっている」というのは「払い打ちでも(それなりに)打てる」という意味です。
決して「払い打ちを推奨」するものではありません。
上で確認した「ダウンブローのメリット3つ」を上回る理論が出てこない限り、払い打ちを目指すメリットはありません
ドライバーやウッドはどうすべき?
アイアンは分かりました。でもウッド系はどうなんですか?
というのは気になるところだと思います。
特にドライバーはティーに乗せて打つわけですから、アイアンとは明らかにシチュエーションが違います。
これらについて見ていきましょう。
ウッドの場合
まずウッドの場合ですが、これは簡単です。
ボールが地面に置いてある以上
ダウンブローで打つ必要がある
というのが正解です。
初めに見たように、最下点ドンピシャで打つのはリスクが大きすぎるので、
必ずダウンブローに打つことになります。
ただし、アイアンよりは最下点に近いところにボールを置くのが良いでしょう。
例えば、3Wでは最下点のボール半個前くらいに置くべきです。
あれ、思ったよりも最下点に近いですね。「ダウンブロー」というくらいだから、もっと叩きつけるものかと……
それはよくある勘違いだけど、ダウンブローというのは打ち込むことや叩くことではなくて、あくまで「スイング軌道が下りの時に打つ」と言っているにすぎないんだ
ちなみにクラブごとの適正なボール位置は、こちらの記事をお読みください。
さてご確認いただいたように、ウッドであっても地面から打つ以上、必ずダウンブローになりますし、いつも通りのダウンブロースイングを意識すべきです。
しかしここでも「フェアウェイウッドは多少ダフっても滑るようになってるんだから、払い打ちで打つべきだ」という意見が存在します。笑
これに関しては、以下の反論が成り立ちます
- スイングを変える方がリスクが高い
- そもそもFWは軌道が緩やか(シャロー)である
①はそのままなので、一応②を確認します。
クラブは長くなるほど、プレーンがフラットになります。
引用:https://www.youtube.com/channel/UC02lnBBTqgUKReNpP-Try8w
- 青線=ウェッジ
- 赤線=フェアウェイウッド
のイメージです(あくまでイメージ)。
引用:https://www.youtube.com/channel/UC02lnBBTqgUKReNpP-Try8w
ご覧の通り、長いクラブはスイング軌道が勝手にフラットになるのです(これは、ロングアイアンがダフリやすいことの一因です)。
なので、あえてスイングを変えてまでフェアウェイウッドで払い打ちをするメリットは無いわけです。
しかし、ゴルフは結局人間がやるスポーツですので、
ボク的には、払い打ちを意識した方が結果クリーンに(ダウンブローに)打てるんです
というケースも考えられます。
その場合はその感覚で打てばいいでしょう。
そこまで否定するものではありません。
ただし本当は、自分の感覚と実際の現象をすり合わせることが、スポーツ上達のコツではあります
ドライバーの場合
ドライバーに関して言えるのは、
- アッパーブロー、ダウンブローはどちらでも良い
- ただし、ハンドファーストは守る
という2点です。
アッパー、ダウンに関しては別記事でまとめているので、そちらをご覧ください。
一流のプロでもアッパー派とダウン派がいるので、全くもってどちらでも大丈夫です(一応、主流はアッパーです)。
ただし、ここで大事なのは「アッパーで打つにしてもハンドファーストは崩さない」ということです。
何度でも言いますが、人間がクラブヘッドを操るには「ボディと手元を先行させる必要」があります。
ヘッドを先に行かせようとすると必ずヘッドが暴走して、過剰なフェースターンやボディターンのストップを引き起こします。
犬を散歩させるとき、前を行かれると、どっちに行ってしまうか分からないのと同じです
(パクられた……)
- ハンドファーストはメチャメチャ大事
ぜひ習得を目指してもらえればと思います。