世の中には、動画、書籍、サイトと、それこそ星の数ほどアーリーリリース修正の情報があふれています。
しかし、私が調べた限り「ハンドファーストができずに悩んでいるところからスタートして見事これを克服した」という人が作成したコンテンツは残念ながらありません。
情報の出どころは必ず、
- なぜハンドファーストに打てないのかが逆に理解できないツアープロ
- 子供の頃からゴルフをやってたので自然とできてしまうレッスンプロ
- 大人になってから始めたけど、才能があったので普通にできた上級者
のいずれかに該当します。
うぅ……アーリーリリースを克服できる気がしない……
めちゃめちゃ気持ちは分かるよ
でも大丈夫! 必ず克服できるから!
このサイトでは、約5年にわたりアーリーリリースに悩まされた管理人が、見事克服した過程や考え方を惜しみなくお伝えしていきます。
プロによる指導は「正しいスイング」ができることを前提にして始まっている
アマチュアの根深いアーリーリリースを治すために、数多くのツアープロ、レッスンプロがスイングを解説し、ドリルを提案し、練習器具を教えてくれます。
しかし、彼らは「こっち側」の気持ちが解りません。
だから、上級者にとっては有効だけど、アマチュアにとってはむしろマイナスな指導というものが生まれてしまいます。
例えば、一見正しそうなのに、ダウンブローができないアマチュアにとっては完全に間違っている指導例が、以下のようなものです。
- クラブの重みに従って、自然にシンプルに振れ
- 小さいスイングから徐々に大きくしていけ
- 腕は常に体の正面に置け
- 手首の角度を変えないイメージで打て
- ボールの手前にタオルを置いて、当たらないように振れ
ゴルフを始めて少し経つと、上記のようなアドバイスが耳に入ってきたり、自分で調べたりする機会が増えます。
運動神経の良い人は、これらを自分なりに解釈し、実践します。
すると、どうなるか。
ただでさえハンドファーストができていないのに、勝手なイメージで練習してしまうと……?
絶対、上手くいくワケないですね
そうです、スイングバランスは滅茶苦茶、「オレ流」のスイングの出来上がりです。
なぜこのようなことが起きてしまうかというと、できる人のアドバイスはできるところが出発点になってしまっているからです。
「正しい動きにとって気持ちいいこと」と「間違った動きを修正すること」はイコールではありません。
世の中にはゴルフに限らず、4つのタイプの物事の習得、成長の過程があります。
- 0を1にすること
- 1を9にすること
- 9を10にすること
- 状態を維持すること
です。
今回のハンドファーストのケースに当てはめると、
- 0を1にすること(ハンドファーストを習得する)
- 1を9にすること(スイングのレベルを高める)
- 9を10にすること(プロレベルまで極める)
- 状態を維持すること(スイングのレベルを維持する)
となります。
先ほど見た、下記のアドバイスは全て、0を1にするアドバイス「以外のどれか」に該当します。
- クラブの重みに従って、自然にシンプルに振れ
- 小さいスイングから徐々に大きくしていけ
- 腕は常に体の正面に置け
- 手首の角度を変えないイメージで打て
- ボールの手前にタオルを置いて、当たらないように振れ
しかし、もうお分かりだと思いますが、ハンドファーストに打てないアマチュアに必要なアドバイスは「0を1にすること」です。
じゃあ、「0を1にするアドバイス」をください
お客さん、それは無理なんですよ……
だって、プロは「9を10にする世界」や「10を維持する世界」にいるわけだから
そん……な……(バタリ)
ということで、本当に必要な情報は次の通りです。
当サイト管理人のように、平々凡々のアマゴルファーが何を考え、どういう練習をすることでハンドファーストで打てるようになったのか
について
これが、ほとんどのアマチュアゴルファーにとって本当に必要な情報のはずです。
さて、ここまでの話を読んでいただけたら、いよいよ本題。
アーリーリリース矯正に向けた2ステップの話です。
アーリーリリース矯正の2ステップ
ステップ①:スイングを2方向から考える
あなたは「ハンドファースト」と聞いて、どういうインパクトの形を思い浮かべますか?
恐らく、ほとんどの人が、
via https://www.youtube.com/watch?v=iEamT53A1lE&t=120s
この絵を思い浮かべると思います。
しかし、これでは不完全です。
本当はこの角度からの映像も、同時に思い浮かべないといけないのです。
via https://www.youtube.com/watch?v=iEamT53A1lE&t=120s
そう、スイング分析には、
- 正面
- 後方
の2方向からの視点がマストなのです。
「ハンドファースト」だから正面の意識しか持ってなかったです
でも、スイングは3次元で起きている現象だからね
「奥行」を知っておく必要があるんだ
これがプロであれば、スイングを正面のみで見ても大丈夫でしょう。
なぜなら「ここの段階でこう振っているのか」というのが、自分の感覚に落とし込めるからです。
しかし、我々アマチュアは違います。
片面しか見ていないと、誤ったスイングイメージを自分の中に作ってしまいます。
「正面」と「後方」を照らし合わせながら、手の位置や体の使い方を三次元の中で考えていくクセを付けてください。
後方視点からのエラー判定は、すごくシビア
しかも、実際のスイングにおける、動きの「OK・NG」の判定は相当シビアです。
例えば、これらのハンドファーストの内、どれが正しいか分かりますか?
恐らく分からないと思います。というより分からなくて良いんです。
スイングは正面から見ただけでは分からないんです。
必ず、後ろからも見るクセ、考えるクセを付けてください。
こう見ると、さすがに1は違うだろと思われると思いますが、あなたが1のような動きになっていない、あるいはイメージしていないと言い切れるでしょうか。
また、2か3か4であれば、どれでも良いと思いますか?
これらの違いを認識していない限り、あなたは間違ったハンドファーストへ向けて努力しているということになります。
努力が裏目に……?
また、ダウンブロー実現のキーワードと言われている「タメ」。
こんな写真を見たことのある方も多いと思います。
via https://www.youtube.com/watch?v=c0I5WOi2Umo
この写真と、
- クラブは重力に従って重みを感じながら落とす
- シンプルに振っていく
- プロはみんな縦振り
などというアドバイスを同時に解釈して、多くのアマチュアはこういうタメを想像します。
え? 何が間違ってるの?
という感じでしょうか?
確かに2Dだと解りにくいですが、このシーンを後ろから見るとこうなります。
これでもまだ何が間違っているのか分からない人も多いと思いますので解説しますと、切り返してからデリバリーポジション(ハーフウェイダウン)に来るまで、クラブはシャローに(寝ながら)降りてこないといけないのです。
実際のプロ(タイガー)の写真を見てみましょう。
クラブが寝ているのが分かると思います。
でもこれ、タイガーが特別なんじゃ……?
と思われた方は当サイトでトッププロのスロー集をまとめていますので、そちらから各プロをご確認ください。
もれなく寝ているんです!
そして、それを見ると、「むしろタイガーはシャロー度合いが少ない方」ということにさえ気付くはずです。
なので、正しい「タメ」はこういうイメージ……
なのですが、多くのアマチュアはスイングを「正面」のみの平面で考えるので、「タテにタメるんだ」という誤解が生まれます。
実際、こんな「タメをイメージした動作」をつい練習中やショットの前に取り入れてしまっている人も多いのではないでしょうか?
結論を言ってしまうと、こんな動きはスイング中に一度もありません。
つまり、今ハンドファーストに打てていない人が、少しでもこのイメージを持っていれば、永久にハンドファーストはできないということです。
現に私はハンドレイトで悩んでいた5年の内、4年近くをこのイメージで振っていました……
ステップ②:感覚論を見破って、徹底排除する
さて、スイングは「正面」と「後方」の2方面で見なくてはいけないことが分かったら、次のステップです。
プロアマ問わず、ゴルフにおけるアドバイスは、そのほとんどが「感覚論」だというワナに気付かないといけません。
例えば、
- ボールの近くに立つ/遠くに立つ
- フェースを返す/返さない
- 上から叩く/レベルに振る
- ボールを見る/見ない
- 体重移動をする/しない
- 力を入れる/抜く
これらは全て、良い悪いは別として「個人の感覚」です。
感覚であって、決して「事実」ではない。
つまり、同じ動きをしているのに、人によって言ってることが違うということがあり得る、ということです。
同じ動きなのに、言ってることが違う!?
そう、やっかいなことにね
例えば、腰の回転に関して。
色々調べると、「腰は開くな」「体の正面で打て」「左に壁を作れ」という回転制御型の意見が一定数出てきます。
一方で「体は積極的に回せ」「ボディターンで打て」「左の腰を切れ」というような回転推奨型の人もかなりいる。
ハタから見れば同じ動きをしているのに、全く違うことを言っているのは感覚の違いでしかありません。
だから、感覚ではなくて「事実」を拾っていくしかないのです
では実際、事実として、打つときに体は開いているのか。
【ハンドファーストに打つための2つのポイント】の記事でも見ましたが、プロゴルファーはインパクトの瞬間、必ずお尻が両方しっかり見えています。
タイガーウッズ
via https://www.youtube.com/watch?v=i7g53q8XMb4
これはつまり、インパクトの瞬間「腰はしっかりターンしているのが正しい」ということになります。
え、じゃあ「開かずに正面で打て」と言うプロは嘘をついてるんですか?
……というと、もちろんそうではありません(適当なレッスンプロの場合は理解していない可能性も十分ありますが)。
先ほどの画像を見てみると、肩のラインは飛球線に対して真っすぐになっていることが分かると思います。
これが「感覚の違い」です。
体のターンに何の問題もない人、才能でボディターンができる人というのは、むしろ回りすぎに注意する必要があります。
なので、こういうアドバイスが生まれるのです。
体は正面に残せ!
腰はむやみに開くな!
しかし、アドバイスというものは、本当はその人に応じて変わってくるものです。
「回転する意識」が必要なのか「正面で打つ意識」が必要なのかは、人によって違います。
というか、極論どっちでも良いのです
本当に重要なのは、インパクトの瞬間に、 この状態(=腰が45°程度開いていて、肩のラインがある程度真っすぐ)
になっているかどうかということです。
それが全てです。
大事なのは個人の感覚ではなくて、「体がこのポジションにある」「こう動いている」という事実なんですね!
ちなみに「腰は回した方が良いのか」で言うと、アマチュアの場合、基本的にはターンは足りてないことが多いです。
もし、あなたのインパクトが、
昔の管理人
こうなっているなら、もっと腰を回して打たなければ、永久に正しいスイングにはなりません。
そして、その際のスイングイメージは「体を開く」でも「ボディターンする」でも「腰を切る」でも、何でも良いのです。
スイングを自分で考えるようになって、初めて活路が開けてくる
プロのアドバイスはとてもクオリティが高く、もちろん人によってはとても役に立ちます。
しかし、
- 正面(あるいは後方)のみの1方向で考えてしまったり
- 感覚論をそのまま真に受けてしまったり
となってしまうと、いつまで経っても正しいスイングは身に付きません。
必要なのは事実のみです。
「ここがこうなったらハンドファーストで打てる」という事実。
なので、「1方向」「感覚」でアドバイスをしてくるレッスンプロに関しては基本無視、少なくともいくらか斜に構えるくらいが良いでしょう。
スイングを自分で考えるようになって、初めて活路が開けてくるのです
あらためて、色々考えてみます
是非、事実ベースで話をしてくれる人やサイトを見つけ、その人の理論を中心に据えて練習してください。
今日はここまで、また別の記事で!